《第24回 街建コラム》セメント、モルタル、コンクリートについて

街建コラムも第24回となりました。プロ向けのサイトとして運営している街建ですが、初心忘るべからずがモットーの街建の中のヒト4号と致しましてはここで『セメント、モルタル、コンクリート』をテーマに取り上げたいと思います。


このコラムの内容は...

セメントとは

一般的にセメントと呼ばれているものは、「普通ポルトランドセメント」を指します。
色は灰色で、水と混ぜ合わせることで固まる「水硬性」の性質を持ちます。そのセメントの多くは一般の土木工事、建築工事で使われるコンクリートやモルタルの原料(固化材)に、またはコンクリート二次製品の原料等に使用されています。
セメントは、原料の石灰石と粘土、その他原料(けい石、鉄原料など)を混合粉砕し、約1500℃で焼きます。それを冷却してできたものを「クリンカ」と言います。このクリンカに石膏を少量混入して粉状にしたものがセメントになります(製品によって異なる場合があります)。

一説によると「普通ポルトランドセメント」の「ポルトランド」とは、イギリスのポートランド島で取れる石材(ポルトランド石)に似ているからという話もあります。

セメントが固まるまで

セメントは水で固まる水硬性で、水に反応したセメント粒子から針状結晶(エトリンガイド)が伸び、その伸びた結晶が交錯しあった状態になり固まります。
通常、セメントは体積の約35%程度の水があれば固まりますが、35%程度ではパサついて扱いにくく(塗りにくく)、作業性としてはよくありません。
体積の60〜70%の水と混ぜた場合、作業性が比較的よいものになるといわれています。
それ以上の水を入れ過ぎた場合、乾燥時に蒸発した水の体積分の収縮が大きくなり、ひび割れの原因となります。

練り水の割合 作業性
35%程度 パサついて塗りにくい
60〜70%程度 塗りやすい
70%以上 乾燥時の収縮でひび割れしやすい

いろいろなセメント

セメントには先ほどお伝えした普通ポルトランドセメントの他にも、白セメント、ジェットセメント、高炉セメント、フライアッシュセメント、アルミナセメントなど、製造方法や配合される混和材(剤)などによってさまざまな種類に分かれます。

「街建 セメント特集」で説明しているので、ご参考にどうぞ。

その他、目地セメント、タイルセメントのように材料の名称にセメントと付くものでも、本来モルタルに分類されるものもあります。では「セメント」と「モルタル」との違いはなんでしょうか。また、「モルタル」と「コンクリート」の違いはなんでしょうか。

モルタルとは

モルタルとは、セメント、石灰、石膏(プラスター。以下、石膏)などの「固化材」と砂(細骨材。以下、砂)、その他混和材(混和剤。以下、混和材)を水で練り合わせたものを指します。今回のコラムではセメントモルタルを中心に話しを進めます。

  • セメント + 砂 + その他混和材:セメントモルタル
  • 石灰 + 砂 + その他混和材:石灰モルタル
  • 石膏 + 砂 + その他混和材:プラスターモルタル


一般的に「モルタル」と言った場合「セメントモルタル」を指し、固化材となるセメントは多くの場合ポルトランドセメントを使います。そこにセメント重量比で2〜3倍の量の砂を混ぜ合わせます。

セメント1に対して砂2を混ぜ合わせ、水で練ったものを「1:2モルタル」(いちにいモルタル)、セメント1に対して砂3を混ぜ合わせ、水で練ったものを「1:3モルタル」(いちさんモルタル)と呼びます。

コンクリートとは

コンクリートとは、固化材としてセメント、砂と砂利(粗骨材。以下、砂利)、その他混和材を水で練り合わせたものです。

セメント + 砂 + 砂利 + その他混和材 + 水

モルタル、コンクリートの主な用途

モルタルは主に、モルタルやコンクリートの「ひび割れ」や「欠け」の補修、壁・床・天井などの仕上げ、タイル・レンガの接着や目地詰め、仕上げを施すために平滑な下地を作るための下地調整として使われます。
コンクリートは一般的に、建物の基礎や躯体全体、トンネル・ダム・道路などの土木工事、U字側溝・ボックスカルバート・縁石ブロックなどのコンクリート二次製品といった幅広い用途で使用されています。

混和材の種類

このようにさまざまな用途で使われるモルタルやコンクリートは、それらの用途に応えるため、各種混和材を添加することで特殊な性能を持たせることができます。代表的なものとして次のようなものがあります。

・防水剤 : セメントの水和物と反応を利用してモルタルに防水性能を付加する混和材。

・軽量骨材 : 通常の骨材に比べ比重の小さな骨材。スチレンなど有機物を発泡させた骨材。軽量モルタルに使用。

・焼成骨材 : 真珠岩や黒曜石を焼成した「パーライト」、蛭石(ひるいし)を焼成した「バーミキュライト」などの焼成骨材。防火、断熱、軽量化を目的としたモルタルに使用。

・MC(メチルセルロース) : 植物繊維を原料に化学処理をおこなった水溶性セルロースエーテル。作業性改良、保水性向上、ブリージング低減を目的に使用。

・AE剤 : セメント中に混ぜることで微細な空気の泡ができる界面活性剤の一種。ワーカビリティ(作業性、流動性)と耐凍害性を向上させる場合に使用します。

・起泡剤 : モルタルやコンクリートの中に大量の泡を発生させるための混和剤。軽量コンクリートの一種である気泡コンクリートや軽量のモルタルをつくるために添加します。

他にもさまざま混和材がありますが、その用途にあわせて数多くの混和材を、施工者が現場で調合するのもなかなか手間がかかります。そのためモルタルには用途に合わせて混和材がはじめから調合されている製品があります。次はそちらを紹介していきます。

既調合モルタルとは

砂や前述のようなさまざまな混和材を工場であらかじめ調合し、製品として出荷すれば、現場で配合する手間が省けます。またそれだけではなく、品質も安定し安心して使用できるモルタルになります。そのようにメーカーの工場で『既』に砂などの各種骨材や混和材が『調合』された『モルタル』を既調合モルタル(プレミックスモルタル)といいます。また、混和材によってそれぞれ特徴を持ったモルタルには、下地調整材や軽量モルタル、タイル接着材、住宅基礎のレベラー、セルフレベリング材などがあります。
ちなみに街建ではこのようなものを扱っています。使用用途と合わせてご覧ください。

まだまだ他にも現場用途にあわせた様々なモルタルがあります。
ぜひ街建の取り扱い商材「街建 機能性モルタルのページ」をご覧になってみてください。

コンクリートの性質とは

コンクリートには以下のような性質があります。

  • ・型枠に流し込むことで形をある程度自由に決めることができる。
  • ・耐震性、耐火性能に優れている。
  • ・圧縮に対する抵抗性が強い。
  • ・引っ張りに対する抵抗性が小さい。
  • ・質量が大きい。
  • ・十分な強度が得られるまでに時間がかかる。

成形の自由度が大きく、耐震性や耐火性に優れ、圧縮に強いなどの性質は、大きな建築物(構造物)を建てるのにはメリットとなりますが、一方で引っ張りに対する抵抗性が小さく、十分な強度を得られるまでに時間がかかるといった点はコンクリートとしての弱点とも言えます。
その弱点ともいえる性質、例えば「引っ張りに対する抵抗性が小さい」といった点を補うために、「引っ張りに強い」とされる鉄筋をコンクリート中に埋めた「鉄筋コンクリート」があります。

鉄筋コンクリート工事の大まかな工程は、
@鉄筋を組む(配筋)  ⇒  A鉄筋の周りに型枠を組み立てる  ⇒  Bその型枠内にコンクリートを流し込む  ⇒  C養生するといった流れになります。

このように鉄筋の周りにコンクリートを流し込んで作られた建築物を「鉄筋コンクリート造(RC造)」といいます。※RC:reinforced concreteの略

このようにコンクリートの特性を活かしたり弱点を補ったり、混和材を添加しそれぞれの用途に沿った特徴を持たせたりし、建築・土木の分野でそれぞれの目的に合わせたコンクリートが作られ、使われています。 次はその一部を紹介します。

コンクリートの種類

・軽量コンクリート : 軽量骨材や気泡剤を混入させて軽量化を図ったコンクリートです。起泡剤を使用した軽量コンクリートを特に「気泡コンクリート」という場合もあります。

・プレキャストコンクリート : あらかじめ工場で製造され、完成品として建設現場に運びこまれ、組み立て、設置が行われるコンクリート部材です。工場であらかじめ製造されるので品質が安定しやすく、納期の見通しも立ちやすいという面があります。

・膨張コンクリート : 乾燥収縮によるひび割れを低減させるために、膨張材を用いたコンクリートです。漏水が想定される場所などに用いられます。

・マスコンクリート : ダムや橋脚などの大型の構造物に使用されるコンクリートです。部材断面の大きなコンクリートであるため、セメントと水が反応した時に、「部材内部で発生する水和熱」と「部材外部で発生する水和熱」に差が生じ、ひび割れを発生させる原因にもなります。そのひび割れ対策の一つとして、普通ポルトランドセメントに比べて水和熱、収縮率が少ない「中庸熱ポルトランドセメント」を用いる場合があります。

その他にも原子力発電所や医療用照射室などでX線やガンマ線の遮蔽に用いられる「遮蔽コンクリート」や、通常のコンクリートより強度が高く高層ビルや橋梁などに用いられる「高強度コンクリート」などがあります。

ここまではモルタルやコンクリートの特性、種類などを紹介してきました。最後に、モルタルやコンクリートを扱うにあたりよく耳にする言葉のいくつかを紹介しようと思います。

モルタル、コンクリートでよく聞く言葉

・ワーカビリティー : 作業のしやすさを表す言葉で「施工軟度」ともいいます。モルタルやコンクリートの練り混ぜから運搬、打ち込み、締固め、仕上げ等での扱いやすさを示すものです。

・コンステンシー : フレッシュコンクリートやフレッシュモルタルの変形、流動性の程度を指し、ワーカビリティーを決定する要素のひとつです。コンステンシーを測定する方法としては「スランプ試験」、「フロー試験」などがあります。

・スランプ試験 : コンクリートの軟度を測定する試験です。スランプ値は、フレッシュコンクリートをスランプコーンに詰めて、スランプコーンを引き抜いた時に、そのコンクリートの高さが何cm下がったか表したものです。 数値が大きければ流動性が高いことになり、建築ではスランプ値15cm〜18cmのものがよく使われます。

スランプコーンとは
上面の直径10cm、底面の直径20cm、高さ30cm。円錐の上を切ったような形(截頭円錐体)で中空の金属製コーンをいいます。

スランプ値等の数値は以下のように表されることが一般的です。(数値は一例)
「18‐18‐20‐N」
強度18N/㎟ ‐ スランプ値18cm ‐ 粗骨材最大寸法20mm - セメントの種類(普通セメント:N、H:早強セメントなど)

・スランプフロー試験 : スランプ試験後、試料の直径の広がり(縦・横の平均値)を測定する試験です。

・N/㎟(ニュートン・パー・平方ミリメートル) : 曲げ強度や圧縮強度など、強度を表す際に使用される単位です。単に「ニュートン」とだけ言うこともあります。

…とはいえ「N(ニュートン)」って何kg(キログラム)?
結局どのくらいの強度なのかイメージしづらいですね。
『1Nは約0.102kg重』で「kg」に換算することができます。
21N/㎟:2.14kg/㎟=214kg/㎠
1㎠あたり214sの強度がある(例:圧縮荷重に耐えられる等)

・中性化 : モルタルやコンクリート中のアルカリ性が失われていくことをいいます。新しいコンクリートやモルタルは強いアルカリ性を持っていますが、時間の経過によってコンクリート中の物質が炭酸ガス(空気中の二酸化炭素)と反応し、アルカリ性が低下していきます。鉄筋コンクリート中で中性化が進むと、コンクリート中の鉄筋には錆が発生しやすくなります。錆びた鉄筋は膨張し、コンクリートのひび割れ、剥離、爆裂の原因にもなります。

・pH(ペーハー) : アルカリ性、中性、酸性の程度を示す単位で、pH0〜14まであります。7〜0に近づくにつれて酸性が強くなり、7〜14に近づくにつれてアルカリ性が強くなります。中性化の進行具合を調べる方法として「フェノールフタレイン試験法」があり、コンクリートにフェノールフタレイン溶液を塗布します。赤紫色に変色したところは未中性化(アルカリ性が保たれている)の部分で、変色しないところは中性化部と判断されます。

コンクリートのアルカリ性pHは12〜13くらい。

・白華(エフロレッセンス)  : モルタルやコンクリートの表面に炭酸カルシウムの白い結晶が現れる現象です。
モルタル、コンクリート内部の水分(もしくは外部からの侵入した雨水)が、セメント中の水酸化カルシウムをモルタル、コンクリート表面に移行させ、その表面に移行してきた水酸化カルシウムが炭酸ガス(空気中の二酸化炭素)と反応することで、炭酸カルシウムに変化します。この炭酸カルシウム(白い結晶)がモルタルやコンクリート表面に残るために起こります。

白華には「一次白華」といわれるものと「二次白華」といわれるものとがあります。
・一次白華 : 施工当初の練り水(モルタル、コンクリート内部の水分)が原因となる白華。
・二次白華 : モルタル、コンクリートの硬化乾燥後に雨水などの侵入が原因で現れる白華。

・ドライアウト : 硬化不良のひとつです。モルタル中の水分が「下地の急激な吸水」や「直射日光などによる短時間での蒸発」により、モルタル中のセメントに十分な水和反応が得られず、クラックが発生するなど、完全硬化ができない状態をいいます。

※ドライアウト対策のひとつとしては、モルタルやコンクリートなどの下地に「吸水調整材」を塗布するなどがあります。

・街建で取り扱っている吸水調整材

・ブリージング(浮き水) : コンクリート打設後、練り混ぜ水の一部が重い骨材の沈殿にともなって上昇し、コンクリート表面に現れる現象です。

・レイタンス : コンクリート内のセメントや骨材に含まれる微粒子が、コンクリート表面に形成する脆弱層を言います。ブリージング水と共に上がってくる(セメントや骨材の)微粒子が、ブリージング水の蒸発によって表面にたまり、脆弱な泥状の層を形成します。さらにコンクリートを打継ぐ場合やモルタルを施工する場合には、付着を妨げないようにするため、レイタンス層を除去する必要があります。

最後に

今回の第24回街建コラムでは、初心忘るべからずということで「セメント、モルタル、コンクリート」をテーマに、『その性質』、『よく聞く言葉』、『街建で取り扱っている商材』などを紹介させていただきました。いかがでしたでしょうか。
街建コラムでは、建築、建材、美味しいお店(笑)など、今後も皆さまのお役に立てるような情報を様々な角度から発信していきたいと思います。最後までお読みいただきありがとうございます。
ではまた街建コラム、街建Facebookでお会いしましょう。街建の中のヒト4号でした。

参考資料

  • ・しくみ図解 建築材料が一番わかる
  • ・キーワードで学ぶ26 世界で一番やさしい左官
  • ・社団法人日本左官業組合連合会 左官事典
  • ・株式会社ヤブ原出版部発行 改訂左官辞典
  • ・ウォール No.24号
  • ・信越化学工業株式会社 hiメトローズカタログ
  • ・株式会社マノール マノール防水剤カタログ
  • ・一般社団法人セメント協会 公式サイト : http://www.jcassoc.or.jp/index.html
  • ・日本コンクリート工学会s コンクリートの基礎知識 公式サイト : http://www.jci-net.or.jp/j/public/kiso/index.html
  • ・コトバンク 公式サイト : https://kotobank.jp/dictionary/

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