みなさん塗り壁というと何を思い浮かべますか?私は子供時代の学校の白い壁や、旅館や民宿などのザラついた手触りが楽しい砂壁などを思い出とともに思い浮かべます。今回のコラムではそんな塗り壁の移り変わりや種類と特徴、湿式等内装仕上材の種類をまとめてみましたのでご紹介いたします。
画像出典元:(有)原田左官工業所
最近ではあまり見かけませんが、日本の伝統的な内装として、一昔前は竹を縄で編んだ木舞下地(こまいしたじ)に、荒壁(荒土塗り)を塗って、その上をしっくいで仕上げる工法が多く採用されておりましたが、下塗り、中塗り、上塗りと乾燥させて塗り重ねる事から、施工には相当な時間を要していました。
木舞掻き
荒土・むら直し
中塗り
漆喰仕上げ
昭和中期(30年以降)になると、「木ずり下地」の上に「ドロマイトプラスター」や、「石膏ラスボード」下地に「石膏プラスター」を塗って仕上げる工法が使用されるようになり、その上に聚楽(京壁)・砂壁・繊維壁などで仕上げする事が一般的となりました。その後はクロス張りが普及し、下地も石膏ラスボードから石膏平ボードへと簡素化が進みました。
土壁・聚楽(京壁)・漆喰・プラスター・砂壁・珪藻土・繊維壁・アクリル樹脂系仕上材など、様々な種類と特徴があります。
画像出典元:(有)原田左官工業所
現在は既に糊などが配合されているプレミックスが多数取り揃っており、比較的容易に使用する事も可能です。
画像出典元:(有)原田左官工業所
昔ながらの施工として本漆喰とも言われており、日本の伝統的な仕上げとして、お城やお寺、蔵など、国の重要文化財や貴重な建物などにも使用されています。漆喰は調湿性、断熱性、防火性、耐久性に優れ、快適な温度を保つのも特徴です。また漆喰(消石灰)は強アルカリ性のため殺菌効果もあります。
画像出典元:(有)原田左官工業所
画像出典元:田中石灰工業(株)
また、内装の長尺シートなどの下地調整材として床用セルフレベリング材も普及しました。
画像出典元:四国化成工業(株)
珪藻土の電子顕微鏡写真
多孔質(スポンジのように多くの小さい穴)であるため、吸音性、吸放湿性、保温性、断熱性に優れていて結露防止にもなり、現在は内装仕上材としても認知され健康壁材として使用されています。
画像出典元:(有)原田左官工業所
最近ではタイルなどの需要も増えているようです。その他防臭グッズやコースター、バスマットなど建築以外の日用品でも多く使用されるようになりました。
画像出典元:(有)原田左官工業所
塗り壁はもともと自然の素材が使われ、人の環境に合ったものが多いですが、最近は意匠性や耐久性、機能性も兼ね備えた材料などが増え、現代に引き継がれています。最近は工期の簡素化で石膏ボードの上にビニールクロスなど乾式工法による仕上げの割合が多くなっていますが、人の手によって作られた暖かみのある空間はワンランク上の住環境になるでしょう。また湿式材料はメンテナンスが面倒に思われがちですが、最近ではリフォーム用に作られた商品やメンテナンス用の材料も発売されていますので、塗り壁も一つの候補として検討してみてはいかがでしょうか?
街建では、従来からある商品から、現代の多種にわたる工法などに対応できる材料も多数取り揃えております。商品に関するお問い合わせなど、お気軽にお問い合わせください。