不定期連載街建コラム

クラックとは?原因と種類、補修方法を調べてみました《第60回 街建コラム》

日常でもよく目にするコンクリートのクラック(ひび割れ)、小さいからと放置していませんか?
クラックを放っておくと、建物の崩壊につながるおそれがあります。クラックは補修ができますが、クラックの種類で補修方法が異なります。
今回のコラムでは、クラックの種類や補修方法、予防についてまとめました。

第60回街建コラムメインイメージ:クラックとは?原因と種類、補修方法を調べてみました

《目次》このコラムの内容は...


クラックとは?

建築業界でのクラックとは、建物の外壁や内壁、基礎などにできるひび割れや亀裂のことをいいます。
クラックにはいくつか種類があり、発生する原因も様々です。
放置すると危険な種類もあり、危険性のあるクラックを見つけた場合は早急に補修をすることが大切です。

放っておくとこんなに危険

クラックを放っておくと、ひび割れ部分から雨水や湿気が外壁内部に侵入し、内部構造が劣化・腐食、さらにシロアリ被害も発生するなど、建物全体の強度が低下していきます。
強度が低下することにより、地震で崩壊する危険性が高まります。
また、湿気がさらに浸透していくと、室内の壁にもカビやシミが発生してきてしまいます。

このようにクラックの種類によっては、放っておくと建物の状態に影響がでてくるため、見つけたら早めに対応しましょう。

コンクリート壁が膨らんでいたり、ボロボロになり鉄筋が露出してしまっているのを見たことありませんか?
これらはコンクリートの「爆裂」といい、雨水の侵入により内部の鉄筋が錆びて、体積が膨張し、次第にコンクリート内部から破裂してしまう現象です。

爆裂の写真

クラックの種類

ヘアクラック

ヘアクラックの写真

ヘアクラックとは、髪の毛ほどの細さのひび割れのことで、一般的には「幅0.3mm未満、深さ4mm以下」の細いクラックのことをいいます。
緊急性は低く、すぐに補修する必要はないクラックとされていますが、簡単な補修方法もあるので早めに対処するのもおすすめです。

クラック幅を測る定規として、クラックスケールというものがあります。
太さがわかるよう直線でサイズが印字されており、ひび割れの上に貼り付けて幅を計測します。

クラックスケールの写真

構造クラック

構造クラックの写真

構造クラックとは、「幅0.3mm以上、深さ5mm以上」で、構造に影響を及ぼす可能性の高い危険性のあるクラックのことをいいます。
被害が大きくなる可能性があるため、早急にメンテナンスをしましょう。

開口クラック

開口クラックの写真

開口クラックとは、窓や扉などの開口部周辺に発生するひび割れです。
四隅から斜めの方向に亀裂が入ります。
開口部は、雨水の影響を受けやすいため早めの補修が必要なケースが多いです。

縁切れクラック

縁切れクラックとは、2度に分けて塗装した際や塗料の不一致によって継ぎ目ができ、発生するひび割れのことをいいます。

クラックの原因

クラックの主な原因として以下のようなことが挙げられます。

気温の変化

コンクリートは高温で膨張、低温で収縮する性質を持っており、気温の変化で膨張収縮を繰り返すことによってクラックが発生します。
ほかにも、空気が乾燥するとコンクリートの中の水分が蒸発していき、体積が縮んでしまいクラックが起こります。
また、コンクリート内の水分が凍ると体積が膨張し、クラックが起こってしまうこともあります。

経年劣化

経年劣化している写真

外壁は、長期間紫外線を浴びることによって、時間と共に劣化してしまいます。
塗膜にできたクラックは、劣化した塗膜が素地の膨張収縮に耐えられなくなりクラックが発生します。
ヘアクラックの主な原因が、この経年劣化によるものです。

地震などによる揺れ

地震や近くを走る電車などの揺れによって力が加わり、外壁が耐えられない場合にクラックが発生してしまいます。

施工不良

材料がよく混ざっていなかったり配合を誤ったりすると施工不良を引き起こしてしまい、クラックの原因となります。
また、モルタルを塗る際に一度乾いた部分に再度塗ると、馴染みが悪く一体化せずにクラックが発生してしまうことがあります。
これをコールドジョイント(後から入れたものと完全に一体化していない継ぎ目のこと)といいます。

クラックの解決策(補修方法)

クラックの太さ(幅)により補修方法が異なります。

0.3mm未満の細いクラック(へアクラック)の補修方法

急いで補修する必要はないクラックですが、見た目が気になる場合や広がるのが心配な場合は補修をしましょう。

シール工法・・・

クラックに樹脂を刷り込む表面的な補修方法です。
ひび割れ幅が挙動しない場合はパテ状エポキシ樹脂を使用し、挙動する場合は可とう性エポキシ樹脂を使用します。

刷毛で押し込みをするイラスト

【作業手順】

  1. クラック部分の清掃
  2. シーリング材の刷り込み

    「可とう性エポキシ樹脂」または「カチオン系ポリマー セメントフィラー」をクラック部分に刷り込みます。

  3. シーリング材の押し込み

    シーリング材がよりクラックの内部まで届くよう、ヘラやウエスを使ってクラックをなぞり、シーリング材を押し込みます。

  4. 表面の仕上げ

(商品紹介)

eiプラス スタンダードタイプ

微細なひび割れから、幅0.5mm程度のひび割れを補修するのに最適なエポキシ系浸透性ひび割れ接着剤です。
刷毛やローラーで塗布する比較的容易な施工方法です。

クラックイレイザー 400g×6本/箱 ヤブ原産業 

床用のカチオン性セメント系クラック補修材で、エポキシ樹脂ではないですが、コンクリートの床に発生したクラック(0.2〜2.0mm)「混ぜる」「流し込む」「削る」だけの簡単施工で補修ができる商品です。

上記、シール工法の他に、簡単に行えるスプレータイプやスティックタイプもございます。
スプレータイプは、ひび割れに沿ってスプレーを塗布するタイプで手間がかからずに容易に施工ができます。

アンダースプレーセット 3本セット/小箱

モルタルに発生した微細なひび割れの充填とぼかし、注入補修跡のタッチアップ、落書きの塗り潰し等に使用ができるエアゾール型下地調整材です。

インサルクラックシャットキット エービーシー商会

1mm以下の微細なひび割れや凹凸、落書きなどを補修、化粧する目的で簡単に施工ができるキットです。

安心補修スティック 標準パック

スティックをひび割れに擦り込み補修します。ピンポイントで補修することができます。

0.3mm以上の太いクラックの場合(構造クラック等)の補修方法

専門的な工具や知識が必要になります。専門の施工業者にお願いしましょう。
太いクラック補修の代表的な工法として、注入工法と充填工法があります。
0.3mm〜1.0mm未満は注入工法、1.0mm以上は充填工法が適しています。

注入工法・・・

0.3mm〜1.0mm未満のひび割れにエポキシ樹脂系またはセメント系の材料を注入する工法です。

注入しているイラスト

【作業手順】

  1. クラック部分の清掃
  2. 台座(座金)の取り付け
  3. シール材の塗布

    注入材を入れたときに漏れ出さないように、台座の周囲とひび割れ部にシール材を塗布します。

  4. エポキシ樹脂の注入

    台座へ注入機器を設置し、圧力を加えながら注入していきます。

充填工法・・・

ひび割れ部分に沿って、U字またはV字にカットし、その中にシーリング材やエポキシ樹脂などの補修材を充填する工法です。

U字カットしているイラスト

【作業手順】

  1. クラック部分の清掃
  2. カッティング

    カットした箇所は刷毛できれいに掃除します。

  3. プライマー塗布

    プライマーとは下地と補修材の密着を上げるための下塗り材です。

  4. 補修材の充填

    プライマーが乾いたら、シーリング材やエポキシ樹脂などの補修材を充填します。

(商品紹介)

SSSボンド#500 (スリーエスボンド#500) 300g×10セット/箱

カートリッジタイプの注入用エポキシ樹脂です。壁面や床面のモルタル等の浮き、ひび割れ補修を行うことができます。

ボンド UカットONE 333mL×20本/ケース

パテ状の1液可とう性エポキシ樹脂で、コンクリート・モルタルのヒビ割れ部Uカットシール充填補修材です。

クラックの予防

クラック予防として原因ごとに対策があるのですが、乾燥収縮によるひび割れの予防としては、収縮低減剤や膨張剤の使用などがあります。また、モルタル下地に伏せ込んで、ひび割れを防止するネットもございます。

<モルタル下地に伏せ込んで予防>

[アウトレット商品]3軸グラスファイバーメッシュ 3フォース

モルタル下地に伏せ込んで、ひび割れを防止するネットです。3軸の格子になっているため、斜めからの引張に対して高い強度をもっており、クラック抑止効果が向上します。

<下地処理後、砂骨ローラー1回塗りで
予防>

インサルキソッシュONE ダークグレー 12kg/袋

透湿性のある可とう性のモルタルを使用したコンクリート基礎保護材です。クラック発生を抑制するだけでなく、中性化を予防することでコンクリート自体の耐久性も向上させます。

<セメントやコンクリート、モルタルに混ぜて予防>

ベルデンS 3kg/袋

混練直後より微細なエトリンガイト(3CaO・Al₂O₃・3CaSO₄・32H₂O)を多く生成することによりモルタルの収縮を緩和し、乾燥収縮による亀裂の発生を大幅に低減します。

<コンクリート硬化後に塗布で予防>

クラックセイバー 18kg/缶

コンクリート硬化後に塗布することによって乾燥収縮を抑制する、塗布型高性能収縮低減剤です。

最後に

いかがでしたでしょうか。
クラックの種類や補修方法についてご紹介しました。
街建では、様々なクラック補修材を掲載しています。
ページ上部にある検索画面や、トップページ左下にあるGoogle検索画面で「クラック」や「ひび割れ」で検索してみてください。
街建で、クラックのサイズに合わせて材料を選定してみてはいかがでしょうか。

参考

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