不定期連載街建コラム

玉石とは?玉石の読み方や使用方法を解説。玉石の魅力などをご紹介《第61回 街建コラム》

枯山水(かれさんすい)。
歳を重ねるごとに季節感やワビサビなどを『枯山水』から感じるようになってきました。
枯山水は、水を使わずに岩・石・砂などで山水を表現した日本庭園の一つなのですが、これのボードゲームがあるのをご存知ですか?
「より美しい日本庭園を作ったプレイヤーが勝ち」というこれまで聞いたことが無い斬新なルール!実際は計算方法があってその点数が多い人が勝ちになるのですが、完全に大人向けのボードゲームです。機会があったら試してみたいですね。
今回は枯山水にも重要な『玉石』について紹介...と思っていたら、枯山水で使用しているのは、『玉石』ではなく、『白川砂利』や『伊勢砂利』ですよ〜とご指摘が!

枯山水は、玉石じゃなかったんですね。これまでずっと玉石だと思ってました(汗)
ということで、改めて今回の街建コラムでは『玉石』をテーマにしていきます。

なお、日本の銘石と呼ばれ価値の高い玉石については用途が異なるため、今回のコラムでは紹介しませんのでご了承ください。

第61回街建コラムメインイメージ:玉石とは?玉石の読み方や使用方法を解説。玉石の魅力などをご紹介

《目次》このコラムの内容は...


玉石混淆とは?

玉石混淆の写真

良いものと悪いもの、優れたものと劣ったものが混ざりあった状態の例えで、『ぎょくせきこんこう』と読みます。
その漢字が「宝玉」と「石ころ」、異なるものが混じり合っている...となっています。

でもチョット待って!宝玉が優れたもので、石ころが劣ったもの...誰が決めた?

宝玉はもちろん希少価値があって良いものだとは思います。石ころだって、存在感のある石だったりコンクリートを作るための砂利だったり、価値のあるものはたくさんあるし、使い道などを考えたら石ころのほうが遥かに価値があると私は思っています。
ですので、玉石混淆という表現は正直その人の価値観によって異なるので、あまり使いたくない表現です。あくまでも個人的な意見ですが(汗)

玉石の読み方は「たまいし」

玉石混淆を考えれば「ぎょくせき」と思いがちですが、建設業界では玉石を「たまいし」と呼ぶのが一般的です。ぎょくせきって読むと「宝玉」と「石ころ」になってしまいますしね。

玉石の魅力

玉石の魅力がわかる写真

玉石の魅力とは個人的にですが、集まった時の美しさだと思っています。もちろん1つ1つでも形が異なり愛らしいのですが、同系統の玉石が集まった時の美しさは、宝石も上回ると思っています。玉石が集まっている状態ですぐに思い浮かべるのは日本庭園で見かける黒くて丸い玉石ではないでしょうか?
樹木などとの組み合わせでさらに美しく感じます。
他にもしっかりとメンテナンスされた洗い出しでの仕上げは高級感がありますよね。

玉石とは?砕石との違い、玉砂利の違い

玉石の説明の前に玉砂利と砕石の違いについて簡単に紹介すると、「角が取れた丸い石」か「大きな岩石を砕いた状態の石」かです。
粉砕機を使って岩石を砕いた石が「砕石」と呼ばれています。

砕石の写真

川や海などにある大きな石や岩が砕けて、長い年月をかけて角が取れた石や砕石を加工して角を無くして丸みがある石を「玉砂利」と呼びます。

玉砂利の写真

その玉砂利の中で比較的大きな石を玉石と呼びます。
玉石・玉砂利を数多く扱っている日本玉石さんによると、オーバーラップするものもありますが、10mmを境にして大きい砂利を「玉石」、小さい砂利を「玉砂利」と呼び分けているそうです。

「土木の世界では10〜50cmのものを玉石、50cm以上を転石と呼ぶそうです。
10倍ですね(@_@)

石のイラスト

また、我々の左官業界ではセメントモルタル仕上げなどの材料に混入する玉石・玉砂利を種石(たねいし)と呼ぶこともあります。

玉石の使用方法・使い方

玉石の使用方法は大きく分けて2パターンあります。

敷砂利

駐車場敷き砂利の写真

庭や駐車場の一部などに玉石や玉砂利を敷くことで、美観に優れた庭や駐車場を作ることができます。
砕石を敷いて比較的安価で沈みにくく歩きやすい安定した駐車場にするという選択肢はもちろんアリですが、見た目にこだわるなら色やデザインによる視覚効果でおしゃれに演出できる玉石や玉砂利がオススメです。
ただし、玉石は車が乗ると地面が沈んだり凹んだりするので、タイヤが通らない場所にのみ敷く方が良いでしょう。
駐車場の敷砂利で注意したいのが、小さい玉砂利や小さい砕石を敷いた場合です。
車の重さで石が飛んで周辺を傷つけたり、タイヤの溝に入り込んでタイヤの負担に繋がるので、避けたいところです。

洗い出し

洗い出しの写真

玉石をセメントモルタルなどと組み合わせることで、より表情豊かで上質な床を仕上げることができます。
洗い出しは、駐車場、玄関のアプローチや土間などに使用されることが多く見られます。

洗い出しについて詳しくはこちらのコラムをご覧ください。
洗い出し仕上げとは?最近のトレンドに合わせた商品についてもご紹介!《第34回 街建コラム》

注意すること

上にも記載しましたが、駐車場に敷砂利として施工する場合は、

  • ・車の重さで石が飛んで周辺を傷つく可能性
  • ・タイヤの溝に入り込んでタイヤの負担になる可能性
  • ・玉石に車が乗ると地面が沈んだり凹んだりする

なども頭に入れておく必要があります。

国内唯一の玉石専門会社「日本玉石」

日本唯一の玉石・玉砂利専門の会社「日本玉石株式会社」さんは、設立1978年で45年以上の歴史を持ち、数多くの玉石・玉砂利を取り扱っています。
日本玉石さんでは気になる玉石・玉砂利があれば、サンプルの申し込みを受け付けていますので、庭への敷砂利や駐車場などをお考えの方は、ぜひ問い合わせをしてみてはいかがでしょうか?

玉石・玉砂利の日本玉石
http://www.nihontamaishi.co.jp

日本玉石インタビュー紹介

街建では以前日本玉石の社長様(当時役職)にインタビューを行なっています。玉石にかける思いや苦労など他では聞けない内容になっていますので、少しでも興味を持たれましたら、一読をオススメします。

玉石の種類

玉石は採取できる地域によって種類が異なるので、数多くの玉石があります。
「那智石」「白那智石」「新淡路」「大磯」などは聞いたことがある方も多いでしょう。
那智石は数年前に産出地が那智地方ではない玉石については、ブランド保護のため名称を名乗ることができなくなり業界が騒然となりました。玉石を多く取り扱っている日本玉石さんでも那智石⇒天然黒玉石などに名称が変更となっています。

ここでは街建に掲載されている玉石を紹介します。

玉石のサイズ

寸(すん)や分(ぶ)と言われてもピンとこない方も多いと思います。
とはいえ、玉石によってサイズが異なるので、一般的に使用されることの多い旧那智石のサイズをご紹介します。

玉石サイズ(天然黒玉石等)

2分 10〜15mm
3分 15〜20mm
5分 20〜25mm
25〜30mm
30〜40mm
40〜50mm

※玉石の種類によって異なりますので詳しくは各商品ページまたはメーカーの製品紹介でご確認ください。

玉石のサイズは、サイズを選別時に使用する「ふるい網」の網目の長さを表しています。
15〜20mmサイズの玉石の場合、20mmの網目では落ちますが、15mmの網目では落ちない大きさです。

玉石と網目のイラスト

参照:日本玉石株式会社 商品総合カタログP21

防犯玉石って何?

防犯玉石とは、軽く踏むだけで大きな音がでるように加工された特殊な玉石です。
大きな音が出るので、個人宅の外構、庭、ベランダや玄関などに敷くことで、不審者などが侵入しにくくなります。

玉石や玉砂利を敷くにはどのくらいの量が必要?計算の仕方

まずは厚さですが、玉石のサイズにもよりますが、「5cm」程度の厚さがあれば下地面が見えなくなります。

玉石の断面図イラスト

玉石や砂利を1平方メートルあたりに5cmの厚さで敷く場合には80kg程度必要となります。
1袋20kgの玉石や砂利では「4袋」が必要です。

この時の計算方法を見てみましょう。

 
【計算式】 平方メートル(平米) × 厚さ(m換算) × 比重(kg/立米) ÷ 1袋の重量 = 必要数量
  1m2 × 0.05m × 1600kg/m3 ÷ 20kg/袋 = 4袋
スクロール

計算式では玉石や砂利の「比重」が大きく関わっています。
世間一般的に、玉石や砂利の比重は「1600kg/立米」で計算しますので玉石や砂利の必要数量を計算する際はご活用ください。

平方メートル(平米)ってどうやって出すの?
平方メートル(平米)は面積の単位です。

図のような縦1m×横1mの面積は1平方メートル(平米)となります。
玉石や砂利を敷くときには、まず敷く予定の面積を図ることが大切です。

1平方メートルの図

玉石を敷いた施工例

日本庭園や戸建て住宅の庭はもちろんですが、オフィス街などを歩いていてもビルの外構などで目にすることがあります。

彩洗い出しの写真 八丁堀の写真

洗い出し仕上げが簡単にできる!?

古くから多くの人に愛されてきた伝統的な左官仕上げの「洗い出し」
洗い出しは技術力が必要な工法ですが、近年開発された工法「ストーンフィーネ」や「洗い出しネット輝」では従来の方法よりも手軽に実現できると評判になり、分譲マンションや個人住宅のエクステリアだけでなく、商業施設や店舗の床やオープンスペースなど様々な場所で採用されています。

晴海埠頭公園ストーンフィーネ-Sの写真 洗い出しネット輝-写真5の写真

最後に

今回のコラムを執筆しながら、昔川に向かって投げて何段跳ねるかなどで遊んでいた頃を思い出しました。
最近はあまり石を触ることが少なくなってきましたが、子どもの頃はよく石を触っていて、川で見つけたお気に入りの石を持って帰ったりしてたなぁ...
今度川に行ってのんびりとお気に入りの石を探してみようかなと思った春でした。

河川敷の写真

参考