不定期連載街建コラム

左官で使用される道具とは?プロが用意する道具からDIYで必要な道具《第65回 街建コラム》

今回の街建コラムは、左官道具についてです。
これまで街建コラムでは、様々な材料や道具について詳しく紹介してきましたが、今回のコラムは左官で使用する道具をざっと一覧で、用途と合わせてご紹介します。

「プロの左官職人ってどんな道具を用意しているの?」
「DIYで壁を塗りたいけど、必要な道具がわからない」など、
左官をはじめたばかりの方や、DIYで興味のある方が用意しておきたい左官用品が見つかるかもしれないコラムです。

※施工内容により必要な道具は変わってくるため、基本的な道具を紹介させていただきます。

第65回街建コラムメインイメージ:左官で使用される道具とは?プロが用意する道具からDIYで必要な道具

《目次》このコラムの内容は...


左官と道具

左官は、壁、床、天井等に鏝を使ってモルタルや漆喰(しっくい)を塗る仕事や職人のことを指し、熟練の技術が必要になる仕事です。 磨き壁、ナマコ壁、洗い出し仕上げ、掻き落とし等の様々な工法があり、左官で必要な技術や道具は多岐にわたります。
例えば、「鏝(コテ)」であっても、基本的なものから、模様付け用、用途別用、金属製、ゴム製など種類豊富で1,000種類以上あると言われています。
プロの左官職人は、様々な道具を作業内容によって使い分け、効率よく仕上げていきます。

レンガとタイルの写真
※画像はイメージです。
 

最近では、カフェや宿泊施設でもお洒落なモルタル壁や漆喰壁をよくみかけますが、自宅DIYでもコテを使いモルタルを塗る方も増えてきています。DIY向けの材料もあるので、挑戦してみたいと考えている方は、まずは小さい範囲からはじめて慣れていくことをおすすめします。上達していく感覚はDIY好きの方には堪らないかもしれません。

モルタルとは、セメントに砂を加え、水で練り合わせたものです。
内外装の仕上げや、ブロックやレンガの接着材として使われます。
モルタルについてのコラムはこちら↓
《第36回 街建コラム》モルタルとは?モルタルの作り方や用途、特徴について

漆喰とは、石灰(消石灰)を主原料とした塗り壁材のことです。
調湿性、断熱性、防火性、耐久性に優れ、快適な温度を保つのも特徴です。
漆喰についてのコラムはこちら↓
《第28回 街建コラム》漆喰って何?石灰石?消石灰?生石灰?漆喰について深堀りしてみました

プラ舟のイラスト

基本的な左官道具

鏝(こて)

モルタルや漆喰などを塗るときに使う、鉄の平たい板に柄をつけた道具のことです。
左官職人を思い浮かべると、鏝を持っている姿を一番に思い浮かべるのではないでしょうか。
様々な種類があり、用途によって使い分けます。

鏝の種類や用途についてのコラムはこちら
《第59回 街建コラム》「鏝」中塗り・仕上げ・ブロック・煉瓦・目地詰め・円張り・目荒らし・伏せこみ

鏝板(こていた)

鏝を使って塗り付ける際に、練ったモルタル等の材料を乗せるものです。
鏝を持つ手とは逆の手に鏝板を持ちます。

日本では壁に塗る際に必ず使用する鏝板ですが、ヨーロッパ等ではモルタルを壁に直接吹き付けて、それを鏝で平に均すので、鏝板は使用しないと聞いたことがあります。
本当のところ、どうなんでしょうか?

プラ舟のイラスト

撹拌機(かくはんき)

材料を均一に効率よく混ぜ合わせるための機械です。
撹拌機の先についている攪拌する部分の「羽根」は、モルタルに適した形、塗料に適した形があり、用途によって変わります。例えば、珪藻土など薄塗りの材料には丸い羽根のタイプ、モルタルなど厚塗りの材料にはスクリュータイプが向いています。

プラ舟

材料を混ぜるために使用する頑丈な四角い容器です。
他にも家庭菜園やちょっとした道具入れにも利用できます。

バケツ

用途は色々あります。
「水を入れておき、モルタルを練る際の足し水に」「道具を洗うための桶として」「丈夫なバケツであれば、バケツの中で材料を攪拌」など。

ひしゃく

バケツに入れたモルタル等をすくって鏝板に乗せるための道具です。

あると良い道具 作業内容によって必要な道具

養生マスカー

養生シートにマスキングテープが付いたものです。傷、汚れ飛散防止に使用します。
テープを切る際に合わせてカッターも必要になりますが、以下の商品のように、手で切れるものもあります。

アルミスリッパ、クッションスリッパ

床施工時にモルタル等が半乾きでも深く足跡が残りません。作業効率がアップします。

トンボ

コンクリートの表面を均一にならすために使用するT字型の道具です。レベリング作業などにも使用されます。

刷毛、ブラシ

土間の掃除や、のろ引き仕上げ、水刷毛仕上げで使用する道具です。そのほか、テクスチャー付けにも使用されます。
毛が柔らかいものから硬いもの、サイズが大きいものから小さいものがあります。

左官馬、足場台

作業をする際に使う簡易的な足場台のことです。

建築用語で「馬(ウマ)」とは、作業台や作業足場のことをいいます。
馬の姿と作業台の形が似ていることでこの名前がつきました。

プラ舟のイラスト

定木

平面や出隅(ですみ)、入隅(いりずみ)を正確につくるためや、壁や土間の水平垂直の測定、蛇裏引き等の直角・曲線を定めるために使用します。
形状は、刃定木、走り定木等があり、材質は、木製、プラスチック製、ゴム製等があります。
埋め込むタイプや打ち付けて使用するタイプがあります。用途に合わせて使い分けます。

出隅や入隅とは?
出隅:壁と壁の角の出っ張った部分のこと
入隅:壁と壁の角の内側に凹んだ部分のこと

出隅と入隅のイラスト

スポンジローラー

シーラー等を塗る際に使用します。

DIYで必要な左官道具

ここまでいかがでしたでしょうか。一部にはなりますが、プロの方も使用する左官用品についてご紹介させていただきました。
専門的な道具もあり、「DIYには何があれば良いの?」と思われたかもしれません。
ここでは、作業内容によりますが、DIYで必要な左官道具をご紹介します。

鏝(コテ)

左官には必須アイテムです。漆喰塗りや、ピザ窯や花壇を作るためのレンガ積みで使います。
用途や材料によって、必要な鏝の種類は変わりますが、まずは基本的なものでいうと、中塗鏝です。

鏝の種類や用途についてのコラムはこちら
《第59回 街建コラム》「鏝」中塗り・仕上げ・ブロック・煉瓦・目地詰め・円張り・目荒らし・伏せこみ

鏝板(コテイタ)

鏝と合わせてあるといいでしょう。

プラ舟やバケツ

材料を混ぜる際や道具を洗う際に使用します。混ぜる量が多い場合はトロ船、少ない場合はバケツで大丈夫です。

スコップ、鍬(クワ)

材料を混ぜる際に使用します。量が多い場合は、攪拌機の使用をおすすめします。

養生用品

周りを汚さないために、ブルーシートや養生テープ等を使用します。

刷毛、スポンジ

鏝以外に刷毛やスポンジも塗る作業で使えます。

ゴム手袋

モルタルはアルカリ性です。素手で作業すると肌を痛めてしまう可能性があるため用意をしましょう。商品によっては作業中にマスクやゴーグルの着用が必要ですので、安全に作業を行うために必ずご確認ください。

おわりに

いかがでしたか?
今回は、左官道具について紹介しました。
塗壁はデザイン性が高くオリジナリティを出せるところが魅力的です。左官による仕上がりは日本の伝統を感じるなと改めて思いました。

街建では、プロ職人さんが使用する道具や材料の他に、DIY向け商品も出品しています。
ぜひご覧ください。
※道具や材料を安全に使用するために、注意事項や施工要領書をよくお読みください。

参考

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