塗装仕上げが中心の工務店で聞いた話ですが、「お客様が塗り壁を希望していても、手間はかかるし、普段やっていないから面倒なんだよ。」
「だから塗装やサイディングでの仕上げを提案して理解してもらっているよ。今では高性能な塗料などもあって、機能的にも劣っていないからね。」
「塗り壁は納期も掛かるし、費用も高くなるしね」と...。
塗り壁を希望するお客様にデメリットのみを伝えて、塗装仕上げやサイディング仕上げに誘導しているようです。
様々な業界を敵に回すような話から入ってしまいました。何が言いたいかというと、「もったいない!」ということです!
せっかくお客様が価格的に高価な塗り壁を希望されているのに、わざわざ施工単価を下げるのはもったいない。
お客様にとっては重大な決断です。住み始めてから後悔するかもしれません。
塗り壁のメリット・デメリットを含め、正しい情報をしっかり伝えて、納得してもらった上で選んでもらいたいものです。
「塗り壁のメリット・デメリット、湿式・乾式についてはこちら」に詳しく掲載しています。
せっかくのチャンスをものにするため、塗り壁という武器を手に入れませんか?
自社での施工はできそうにない、という工務店さんも多いと思います。メーカーによっては施工店会がありますので、そちらに問い合わせてみてはいかがでしょうか?
《目次》このコラムの内容は...
塗装という言葉についてWikipedia先生に聞くと、「材料の表面を塗料の皮膜で覆う表面処理の一つである。」となっています。
広い意味で考えると、塗り壁も「材料の表面を皮膜で覆う表面処理」ということでは一致しますが、今回のコラムでは「ペンキなどの塗料を、無塗装のサイディングなどに塗ること」を塗装として話をしたいと思います。
塗り壁とは、日本だけではなく世界各国で施工されている、材料を人の手で仕上げた壁の総称です。
一言で塗り壁と言っても、様々な施工方法・材料・色・パターンがあり、加えて施工時の気候条件や職人の技術などで最終的な仕上がりは無限にありますが、今回は街建でも非常に問い合わせの多い、アイカ工業のジョリパットを塗り壁の一つとして紹介したいと思います。
・外部にしか使用できない(最近では室内でも使用できる材料も出てきました)
・目地のない全面工法などで使用ができない
・下地の調整が塗り壁よりもシビア
・耐久性や防水性など機能性の高い塗料など数多くの種類から選ぶことができる
・建物を保護し寿命を伸ばすことが可能
・安価な塗料から高額な塗料まで予算に合わせて選ぶことができる
・職人の力量に差が出にくい
・短期間での施工が可能
・汚れにくい
詳しく知りたい方は「塗り壁のメリットとデメリット。湿式と乾式とは?《第44回 街建コラム》」がオススメです。
・施工に時間がかかる
・高額になりやすい
・職人の力量で仕上がりに差が出る
・ひび割れ(クラック)が発生する場合がある
・汚れやすい(グレードによって防汚タイプもあり)
・世界に一つしか無い自分だけのオリジナルデザインが可能
・内装にも使用できる
・人体に優しい
・調湿性・調温性・防カビ・防臭性に優れている
・防火性に優れている
・耐久性に優れている
・メンテナンス性に優れている
ジョリパットってよく聞くんだけど、結局何なの?
ジョリパットとはアイカ工業が1975年に発売し、長年にわたって色や仕上げ・機能の改良を重ねてきた塗り壁の材料です。
様々な樹脂や骨材を使用した意匠開発で、塗材のトレンドを作ってきました。
コテだけでなく、ローラーやスプレーガンなどにも対応した材料で多くの職人に利用されています。
ジョリパットには様々なタイプがあり、外装、内装、新築、改修、機能など目的に応じてタイプを選ぶことができます。
まずは定番のジョリパットアルファ(JP-100)が最初の候補になると思います。
ジョリパットには以下のタイプがあります。どれも自信を持ってオススメできる材料です。
豊富な色とパターンを持つスタンダードタイプ
不燃認定を取得している不燃タイプ
ソフトな手触りと健康に配慮したタイプ
天然の土を活かした奥深い質感と色合いが特長の天然土混合タイプ
⇒ ジョリパット爽土エクステリアかんたんセット JPS-100B200 上塗【薩摩黒土】【外装】
⇒ ジョリパット爽土かんたんセット JQS-200B200 上塗【薩摩黒土】【内装】
汚れに強く耐候性を高めたハイグレードタイプ
ひび割れや汚れに強い可とう性タイプ
寒冷地での施工に対応した冬期施工タイプ
コストパフォーマンスに優れた吹付けタイプ
ジョリパットの風合いを残したまま色を変えられる改修専用タイプ
ジョリパットの耐久性は30年とも50年とも言われていますが、実際はどのくらいの期間に耐えられるのでしょうか?アイカ工業の担当者に聞いてみました。
「塗り替え時期は、塗膜の劣化状態や改修する目的によっても異なりますので、一概に何年とは言い難いものですが、一般的な塗り替え時期の目安は概ね9年〜15年、また官庁建物などの建物の美観より効果(防水性などの機能)を重視する場合は概ね18年〜20年と認識されております。」
とのことでした。なるほど。
外/内壁・パターン・下地により施工方法は異なりますので、詳しくはカタログ・施工仕様書を確認していただくとして、簡単にジョリパットアルファJP-100の一般的な流れを紹介します。今回は新築・外壁・窯業系サイディング(無塗装サイディング)ボードへの施工を想定します。
ブルーシートやマスカーなどで養生します。
ひび割れや浮きがないか確認し、ホコリやカビ、油汚れなどを除去します。
目地部は下地メーカー指定のコーキング材で処理し、平滑にします。
セーフシーラー(JS-800)を全面に塗布します。
骨材を混ぜない状態の材料で下塗りを行います。
全面下塗りの後、目地部を養生します。
パターンなどに応じて骨材や副資材を混ぜ、上塗りを行います。
上塗り後、完全に硬化する前に目地部の養生を撤去します。(目地部にはパターン付けしません)
材料が乾燥したら養生していたブルーシートやマスカーを外します。
掃除をして完成です。
窯業系サイディングへの施工は、ジョリパットの濃色(T4000番台〜T6000番台、T6002・T6004を除く)を使用すると、パターンによっては膨れが発生することがありますので注意してください。
ジョリパット自体は非常に高耐久で50年前後もつと言われていますが、これは壁として機能するかということですので、汚れやひび割れについては考慮されていません。キレイな美観を50年前後もたせようとすると、やはりメンテナンスが重要になってきます。
ではどのくらいの期間でメンテナンスをすれば良いのでしょうか?
結論から言うと7〜8年目くらいには塗り直しをした方が良さそうです。
ジョリパットの主原料は水性アクリルシリコン樹脂です。アクリルシリコン樹脂の耐用年数は9〜12年と言われていますので、劣化が大きくなる前にメンテナンスするのがオススメです。
メンテナンスの方法としては、ジョリパットフレッシュという改修に特化したトップコートがあります。ジョリパットフレッシュには、スタンダードなJQ-800と遮熱効果の高いジョリパットフレッシュクールJQ-810、紫外線による塗膜の劣化を抑えて美観をさらに長持ちさせるジョリパットフレッシュ∞(インフィニティ)JQ-820があります。
また、光触媒機能で付着した汚れを分解するジョリパットクリーンマジックは、汚染防止機能をさらに高めるのに効果的です。
メンテナンスの詳しい手順は、施工仕様書を確認してください。
最近はインターネット上で気軽にカタログを見ることができますが、お客様に提案される場合、どうしても紙のカタログがあった方が便利ですよね。
紙のカタログは、街建に掲載されているお近くの建材店に依頼するか、アイカ工業公式サイトで会員登録することで請求ができます。
会員登録をすることで、各種セミナーの申込みや証明書や認定書のダウンロードもできますので、ぜひこの機会に会員登録をしてみてはいかがでしょうか?
いやいやネットの情報をプリントアウトするよという方は、公式サイトに最新版のオンラインカタログが用意されていますので、コチラも活用してみてください。
アイカ ジョリパット オンライン総合カタログ
アイカ工業さんは、東京、名古屋、大阪、福岡にショールームがあります。
お近くの方はぜひ見学してみてはいかがでしょうか?WEBでの事前予約制になっていますので、予め申し込んでから訪問してくださいね。
他にも展示会に出展された時のブースを再現したバーチャルブースがありますのでこちらもオススメです。
アイカ工業バーチャルブースはコチラ
今回のコラムでは普段塗り壁をしていない工務店様向けに塗り壁の中でも定評のあるジョリパットをご紹介しました。
他にもさまざまな塗り壁用の材料がありますので、ぜひチャレンジしてみてはいかがでしょうか?