不定期連載街建コラム

日本玉石インタビュー《後編》
「これからの玉石市場」《第9回 街建コラム》

街建のご利用ありがとうございます。街建のなかのヒト4号です。
今回のコラムは、「日本玉石」さんを訪ねて「玉石・玉砂利」にまつわるエピソードを田口勝己社長にお伺いするインタビュー企画の後編です。それでは続きをどうぞ!(※役職については、インタビュー当時の役職になります。)

施工例 ※写真は大機を施工で使用しています。

このコラムの目次...

洗い出しの復活

──これからの玉石の市場について考えていることがあれば教えてください。

今、我々がやろうとしてることのひとつには、「洗い出しの復活」なんですよ。
「洗い出し」のできる職人さんが少なくなっている、現場がない、現場が汚れるから使わないってことでどんどん低迷しちゃってますけど、工法がなくなったからって、ウチらやめるわけにもいかないでしょ!

──「洗い出しの復活」に絡めてじゃないですけど、「この庭・建物では日本玉石のきれいな石がみられるぞ!」って、社長がお勧めの施工現場はありますか?

大江戸温泉物語画像

たとえば、「大江戸温泉物語」(お台場にある温泉施設)ですね。ああいう温泉のところに使ってもらってる。手埋め工法でね。
他には、世界遺産になった上野の「西洋美術館」で今度のカタログに載せますよ。

あれ(西洋美術館)の外側の玉石が、「本青玉石」(ほんあおたまいし)っていうグリーンの石です。
あそこは70トンか80トン使われてます。

納入までお客様の色の指定に応じるのがとても大変でした。

東南アジアで青玉がある海岸を全部市場調査して、指定に合うものを探しました。間に合わなかったらたいへんですから!そしたら同じ設計者が「宮城大学」の改装でも使うことになって、さらに180トンくらい...たぁいへんでしたよ!

説得できるもの、納得したものをやっていく

── 一時期、パワーストーンとか流行った時期があったじゃないですか?ああいうのとか、宝飾系の石のご商売を考えられたことはありますか??

僕はいろんなほうに首をつっこむのが苦手なタイプなんです。
だからもう、「玉石・玉砂利」をはじめたら、それ一本と。
独立して15年か20年かくらいで湿式建材業界、その後は造園関係とか外構関係っていうのにちょっと広げて。玉石だけじゃなくて砕石とか...そういう自分がわかってることだけですね。自分で説得できるもの、納得したものを中心にやってこうと思います。

ただ、確かにそういう(宝飾系)話しも過去にはありましたよ。
インドにいって「ガーネット」とかね。あるから売ってくれないかとか。ガーネットの工場に行ったらそれこそガーネットが山のようにあって「1kg日本円でいくらいくらです」だとか言われてね。
ジュエリーは「こういうのを買って商売してるんだな」って思いました。それはもう、「儲けは、今どころではないな...(笑)」って思ったこともありましたけど、やらない。やらない。
B型とかなんとか関係ないかもしれないけど(笑)、こだわりはあるんですよね。
今でも自分で現地に行って、必ず浜の状況をみます。

浜の画像
日本玉石インタビュー「地表の温度を下げる、日本の伝統」

環境問題へのアプローチ

──「洗い出し」、「敷き石」とはちょっとちがった「玉石・玉砂利」の使い方があれば教えてください。

環境問題に興味があって考えたことがありました。玉石や「和空」なんかを家のまわりに敷いたりして、「打ち水」したり、雨が降ったりすれば「ヒートアイランド現象」なんかを和(やわ)らげることができるんでね。

これも非常に偶然だと思うんですけど、「世界水フォーラム」とかっていう大会があって、そこで日本は昔から「打ち水」の習慣があると、話題にあがったようです。
暑い時に「打ち水」として地表の温度を下げる工夫は日本では伝統的にやっていること。 文化の話だけじゃなくて色々な情報と水に関するデータすべてひっくるめてね。その話は世界的に反響があって、海外の色んな所で「打ち水」をやったんですよ。
それをたまたま新聞で読んで、なるほどなと。地球っていうのは考えてみれば岩石でできてるんだから、日本玉石も砂利という地球から生まれた材料を扱って、地球や環境に携わっているんだから、うちなりに環境問題にアプローチしてみようと思いました。

まだ実現はしてないんですけど、「余地透水層」。建物や一軒家の廻りや、隣との境界線とか、そういう余った土地にちょっと掘って砂利を何センチか敷くことによって、雨が降ってきた時にね打ち水効果が期待できればとね。

公園なんかの地下に水を貯める槽を、国は大々的に推進しているんですよ。 港区の芝公園だとか、進めてるようです。
他にも透水ができる道路をつくったり、透水コンクリートに替えたり、透水アスファルトとか・・・そういう努力は国でしてると。それをちっちゃなことじゃないけど我々一人ひとりでもやれるようにしたい。
その時一緒に砕石や「玉石・玉砂利」で踏んだ時の音、「デシベルの高いもの」を敷いとけば泥棒よけにもなるとも考えています。「防犯砂利」ですね。

防犯ロック施工例 ※写真は防犯ロックを施工で使用しています。

「玉石・玉砂利」の可能性

──住宅自体はどんどん気密を高める規制というかルールづくりが進んでるんですが、外構にはまだあんまりそういうのがないんですよね。だけど携わってる人の意識としてはやらなくてはいけないという風になっているんですか?

そう、なんかあったときに廻りを固めちゃうと直しとか大変でしょ。砂利の場合だときれいに撒いておけば化粧にもなるし、景観にも役に立つし、おかしくなったとか壊れたとかっていっても、その部分だけ取り除けばいい。そういう面でも「玉石・玉砂利」っていうのはこれから可能性があると思います。

伊勢砂利施工例 ※写真は伊勢砂利を施工で使用しています。
日本玉石インタビュー「アイデアの源泉」

アイデアの源泉

──話しは変わりますが、日本玉石さんは以前テレビに出られたことがありましたよね?(笑)

「出没!アド街ック天国」、「タモリ倶楽部」と、それから加山雄三の「若大将のゆうゆう散歩」、あとは「たけしのニッポンのミカタ!」で取り上げていただきました。
中でも一番反響(問い合わせなど)があったのが、「たけしのニッポンのミカタ!」ですね。
ありがたいことにみんな通して言うのは、「玉石・玉砂利」の道一本で生きてきた社長として取り上げていただきました。

──日本の景観をつくってる「玉石・玉砂利」なんですけど、原産地は日本でないことが今やほとんどですよね?

今は日本で海岸からは採れているところがないですね。あとは昔海岸だったところは可能性があります。
現状は海岸から100メートル以上陸地に入って、田んぼだとかを掘って、出てきた砂利が許可されれば採っていいということになってます。
「南国砂利」(なんごくじゃり)はちょっと違っていまして、四国の桂浜が産地なんですが、台風かなんかちょこちょこくるんですよ。だから砂利がいっぱい外海から湾に流れ込む。
そうすると船の航行に影響するっていって、2年にいっぺん位、海岸から少し土佐湾に入った所で採っていいって言われてるんです。ただ、その程度っきりしか、採れないんです。昔はあちこちから採れたんですけどね。

──「那智石」とか「那智黒」とかって言葉はわりと昔からある言葉なんですか?それとも社長が・・・

いや、「那智石」とか「大磯」は昔からあります。「那智」は実際にある浜の業者が名前を付け、たとえば「桂林」(けいりん)は僕が付けました。(那智石は現在「天然黒玉石」という名称で販売しています)

桂林
※写真は桂林です。

──そのへんが混在しているなかで、いくつか業界のスタンダードになってる名前が社長発案なんですね。工業製品としての玉石の仕入れと美しいものとしての玉石を売り出すプロデュース力、その両方を担っておられる社長の中のバランスってどこからきているものなんですか。例えばご出身が海岸線沿いで生まれ育ったとか・・・?

生まれは浅草です(笑)
自分自身でもどうしてこういうことがひらめくのかははっきり言えませんが、感性やほんとに先天的なものなのかって思います。でも自分で付けた名前で、皆様が注文してくれる…嬉しいものですよ。

──今日は、「玉石・玉砂利」への社長の一途な思いやこだわりについて貴重なお話しを聞けたと思いますが、ちなみに食へのこだわりってありますか?例えば、この辺の界隈で「ここは美味しいぞ」ってお勧めのお店はありますか?

食のこだわり!? あんまりないです。何しろ海外ではこだわっていられないことばかりでしたから(笑)
あるところでは、パンつくったから食べてくれって。出てきたら蟻がいっぱい這(は)ってるんですよ。パンの甘みを狙って。
しかも、蟻が糖分吸ってるから蟻と一緒に食べないとパンの甘みがないよと・・・蟻と一緒に食べたら口のなか噛まれるし、鼻のほうに入っていくしで大変でしたけど、そういうの平気でやってたからあんまり食にこだわりはないんですよね(笑)。

──最後に、社長ご趣味っておありですか?

趣味っていうと、本なんだね。小説とかなんかは読む。子供のころから小説を読むのが好きで自分でも詩をかいたりね。そういうのが好きだったから名前なんかつけるときでも自然に湧いてくるのかな。

田口社長

読むのは時代小説が多いですね。推理小説もときどき読むけど・・・あとは最近は「ナンプレ」ですね(笑)脳の活性化から・・・ほんと最近から。 僕の場合には、時代ものって言ってもいわゆる山岡鉄舟とか高橋泥舟とか、そういう個人をテーマにした時代小説が好きなんですよ。

どれだけ苦労して剣術を極めたかとか、武道がどうとか・・・あくまでも小説だから作り話でもあるけど、70%は真実ですよと、あのへんのバランスがいいんですよね(笑)。自分がそういう苦労ができないからあこがれるのかもしれないけど、「あ〜俺もこういうことできたらなぁっ」て。

──アイデアの源泉がそこにあるんですね。
このコラムを最後まで読んでくださったかたにメッセージがあればお願いします。

やっぱり自分の足元にある石をもうちょっとみなさんに、見直してみてもらって、玉石・玉砂利・砕石などを日本玉石から買わなくてもいいんですけど、そういう石関係を自分のまわりの中に取り入れていただいて、環境問題とか自分の健康についてとか、そういうようなことを通じてでも、なんとか石を見直してくれればありがたいなと思います。


──日本玉石さんの設立当初の話しから、「玉石・玉砂利」への一途な思い、社長のこだわり、海外でのエピソード、今後の玉石・玉砂利業界について思うところ、さまざまな貴重なお話しありがとうございました。

街建コラム、「日本玉石・田口社長へのインタビュー」最後までお読みいただきありがとうございました。
田口社長が独立してから今日に至るまでのご苦労、「玉石・玉砂利」へかける思いやこだわりなど大変興味深いお話しを聞くことができました。
不定期連載ではありますが、みなさまに「街建」を楽しんでいただけるようなコラムを書いていきたいと思います。今後ともよろしくお願い致します。

日本玉石株式会社

住  所:〒351-0115 埼玉県和光市新倉5丁目7番34号

電話番号:048-458-3401

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