《第10回 街建コラム》 木造住宅を耐火建築物にできるのかを調べてみた

平成28年12月22日に新潟糸魚川市で発生した〜平成28年12月22日に新潟県糸魚川市で発生した大火災は、まだ記憶に新しいと思いますが、その焼け野原の中に1件だけ無傷で残った住宅があったことはご存知でしょうか?
記事ではガラスのひび割れとエアコンの室外機などが溶解した程度だったようです。
設計上、様々な工夫があったようですが、大きな要因は外壁に火に強いステンレスのトタン板を採用していたことと、一部耐火レンガが使われていた為だということです。
(写真を見ると外壁に焦げた跡もなかったので、風向きの影響や立地条件も大いに関係しているような気もしますが・・・)

正直なところ、今までは建物を建てる時に火災を前提に計画する必要ってあるのだろうか?という疑問を抱えていました。防火や耐火の認定に従うために建築コストは上がり、家を購入すると火災保険は必ず加入させられる。10年ほど前に自宅を建て替える際に低予算で家を建てたいと考えていた私としては、これらに掛かるコストを何とか出来ないものか、と考えたこともありました。

でも、糸魚川のような事件を目の当たりにすると、やっぱり火災って怖いなぁ、とつくづく思い、家族のことを思うと、今までとは逆にもっと火に強い建物にしたいなぁ、とも考えてしまいます。

昨今のマンションや住宅における建築物は、主に木造、鉄骨造、鉄筋コンクリート造に分類されますが、この中で圧倒的に火災に対して強い構造は鉄筋コンクリート造であるのはご存知でしょうか。(まぁ、知らなくても想像は付きますね) なぜなら、コンクリートで建てるというだけで耐火建築物、つまり「燃えない構造」になるからです。

とはいえ、木造や鉄骨造であっても耐火建築物にすることは可能なようです。木材や鉄などが火によって燃えたり溶けたりするのであれば、「燃えない」または「燃えにくい」材料で壁や柱などの構造部分を覆ってあげればいいみたいですね。

少し詳しく調べてみたところ、それらの方法で建てられる建築物は純粋な耐火建築物ではなく、「1時間耐火」や「30分防火」、などといった基準で建てられていました。 簡単に解釈したところ、「耐火」は室内からの火災、「防火」は周囲からの火災に対して、表記された時間内は建物が倒壊しません、ということのようです。

つまり、「火災が発生しても一定の時間内は倒壊しない建物にしておくので、その間に安全な場所まで避難しましょう」ということになるようです。

ということは・・・糸魚川のように木造住宅の密集地域で火災が生じた時には、新築建物ばかりであっても同じように延焼していってしまうのでしょうか?

おそらく、何も対処しなければ延焼していくのでしょう・・・が、きっと大丈夫なはずです。なぜなら、1棟1棟が30分や1時間という時間を火災に耐えられるのであれば、その間に消防士さんたちが鎮火してくれるでしょうから。
それに、新築計画する際には、はしご車から侵入できる開口部の設置や、消防車が入れる道路幅の確保など、建物の構造だけでなく火災を前提にした計画が随所に考えられているようでした。

これだけ火災を前提に建物を建てているのであれば、全て燃えない材料だけを集めて火災の心配が一切なくなる建物が出来ないものか、と思い色々と探してみましたが、やはり現実的には難しいようですね。
そもそも、建物には窓が必要で、不燃材であるガラスでも熱で割れてしまうのですから・・・。

やっぱり重要なことは一人一人が火事を起こさないこと、つまり「火の用心」を心掛けるということかもしれません。
火災事故がなくなることを願うばかりです。

最後にせっかくなので、色々と探した中で興味深かったものをいくつか紹介したいと思います。

株式会社ヤブ原
湿式外断熱ダンウォール不燃ライト工法 不燃材であるロックウールを断熱材に採用した外断熱工法。
鉄筋コンクリート造の外側において断熱性を高めるだけでなく、 不燃材のみで構成することで防火性も向上。
吉野石膏株式会社
タイガーボード・タイプZ-WR 不燃材の認定を取得した強化石膏ボードで、防水性、防カビ性も付加。
木造においては、両面2枚張りとすることで告示による耐火構造の認定を取得。
旭硝子株式会社
マイボーカ 防火設備認定サッシと組み合わせることで火災時の延焼を遅らせられる強化ガラス。網なしのクリアなガラスでありながら、特殊な加工技術により割れた際も小さな破片となり被害を軽減。
積水化学工業株式会社
フィブロック 火災が発生すると5〜40倍に膨張して断熱層を形成するプラスチック系の断熱材料。
通気・換気設備や外壁目地などの隙間に充填出来る。



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