不定期連載街建コラム

塗り床選びのポイント!人気の塗り床材にはどんな特徴がある?《第46回 街建コラム》

今回は塗り床についてのお話です。
工場や倉庫内、病院などの内装の床は、家のフローリングやカーペットとは違ってコンクリートや塗り床で施工されています。
現在の塗り床は耐久性だけでなく、クラック(ひび割れ)に対して強い塗り床や、施工後1時間で歩行できる超速硬性があるもの、帯電を防止するものなど、用途に合わせた様々な塗り床が出てきています。
塗り床は倉庫などの空間に入ったときにすぐ目に入る部分なので、カラーバリエーションが豊富な塗り床材もオススメです。

第46回街建コラムメインイメージ:塗り床といえばケミクリートE

《目次》このコラムの内容は...


塗り床とは

下地のコンクリートを保護し、耐久性や美装性を上げるために塗る床仕上材のことです。
工場床のコンクリートを剥き出しにした状態で放置すると、コンクリートからほこりや塵、カビなどが発生する場合があります。
食品を取り扱う工場の床がコンクリートだったら、ほこりや塵が食品に入るリスクが高くなり危険です。
塗り床は耐久性をもたせるだけでなく、熱や水、薬品などからコンクリートを保護し、においの残存や転倒事故を防ぐ役割ももっています。

無機系と有機系(合成樹脂系)の違い

塗り床材には、無機系と有機系(合成樹脂系)があります。
それぞれの特徴について簡単に見てみましょう。

無機系の特徴

  • 耐火性がある
  • 衝撃や引きずりに強い
  • 耐紫外線に強く変色しにくい

有機系の特徴

  • 防水性がある
  • 耐薬品性がある
  • 弾性、伸縮性がある


無機系の塗り床は、物流倉庫や駐車場などの重量車両が行き来する場所、不燃性が求められる場所、強い衝撃がかかる場所に使用されることが多いです。
対して有機系の塗り床は、食品工場や精密機械工場などの、なるべく清潔な環境が求められる場所や耐薬品性が求められる場所に使用されます。

人気の塗り床材

建物の用途や目的によって塗り床材も選ぶことになります。

今回は、塗り床材として60年以上の実績をもつエービーシー商会株式会社の「ケミクリートE」についてご紹介します。
ケミクリートEは街建で取り扱っている中でも人気のある塗り床材です。

ケミクリートEとは

ケミクリートEは、日本で初めてエポキシ樹脂を使用した有機系(合成樹脂系)の塗り床材です。施工の際はコテを使用します。
基剤と硬化剤を混ぜ合わせ、化学反応を起こすことで塗膜を作ります。
エポキシ樹脂の高強度や耐久性を活かし、クリーンルームから一般の床まで、繋ぎ目のない衛生的な仕上げができます。
また滑りづらくする(防滑)など、目的に合わせて6つの工法を用意しており幅広く対応できます。

これまでに病院や給食室などの衛生管理が求められる床はもちろんのこと、実験室などの耐薬品性が求められる場所や、耐久性が求められる物流倉庫にも施工されています。

ケミクリートEの特徴

  • 抜群の耐久性

    長期耐久性に優れており、フォークリフトの走行にも耐える耐久性の高さ、また耐薬品性に優れ、アルカリ類や塩類などの物質に侵されにくい塗り床材

  • 実績の信頼性

    日本初のエポキシ防食材として60年余りの実績があり、現在も高い評価を得ている

  • 美観性

    繋ぎ目のない仕上がりのため、クリーンルームや半導体製造工場などにも最適

  • 施工性

    作業が簡単で時間・コストともに経済的
    新築から改修まで幅広く対応可能

ケミクリートEのカラーバリエーション

標準色12色に準標準色2色を加えた計14色です。

ケミクリートEカラーバリエーション

画像出典元:エービーシー商会株式会社

ケミクリートEの施工実績

ケミクリートE施工実績1

カラー:特注色
画像出典元:エービーシー商会株式会社

ケミクリートE施工実績2

カラー:#1233
画像出典元:エービーシー商会株式会社

ケミクリートE施工実績3

カラー:#1511
画像出典元:エービーシー商会株式会社

ケミクリートE施工実績4

カラー:#青系特注色
画像出典元:エービーシー商会株式会社

ケミクリートEの工法について

流しのべコーティング工法

流しのべコーティング工法

プライマー塗付後、金ゴテで2 回塗付する薄膜流しのべ工法です。
平滑でシームレスな仕上げ面は衛生的な床が求められる場所に最適です。

防滑工法

防滑工法

プライマー・下塗塗付後、骨材を散布。再び上塗を施す防滑仕上げ工法です。
滑りにくい床面となるため、水や油などを使用する場所に最適です。

流しのべペースト工法

流しのべペースト工法

骨材を混合した樹脂ペーストを金ゴテで塗付する厚膜流しのべ工法です。
流しのべコーティング工法に比べ耐衝撃性などの耐久性が向上します。

ペースト防滑工法

ペースト防滑工法

ペースト工法と防滑工法を組み合わせた工法です。
耐久性があり水を使用する厨房や食品工場などにもご使用いただけます。

ライニング工法

ライニング工法

防液堤などの防食材としてガラスクロスを積層する工法です。
低濃度の薬液を扱う場所にご使用いただけます。

ローラースチップル工法

ローラースチップル工法

トップコートを専用ローラーでスチップル状に仕上げる工法です。
適度な防滑性と清掃性を両立した仕上げで美しく清潔な床を実現します。

今回の商品紹介

施工不良?塗り床が剥がれてしまったときに考えられること

画像出典元:エービーシー商会株式会社

せっかく塗り床を施工したのに、施工後すぐに塗り床が剥がれてしまった。という事態は避けたいですよね。
塗り床施工から1カ月以内で剥がれが生じるケースは、施工不良によるものと考えられることが多いです。
例えば、塗り床の改修時に既存のぜい弱な塗膜を剥がさずに重ね塗りをすると、そのぜい弱な塗膜が原因で剥がれにつながることがあります。

上記のように施工不良の可能性もありますが、用途や目的に合った塗り床を施工していない場合も、剥がれの原因になっている可能性があります。

例えば、剥がれとなる原因の一つに熱水の使用が挙げられます。
樹脂の耐熱水性は一般的に40℃程度です。
60℃や70℃の熱水を頻繁に使う施設では樹脂が熱で劣化し、そこに台車などの荷重が加わることで剥がれや割れにつながります。
また、その熱衝撃により小さなクラック(ひび)が生じ、そこから水が浸入して下地のコンクリートまで達すると、次第に塗り床が浮き、剥がれにつながります。
塗り床材の中には、ウレタン系の樹脂に硅砂などの無機物を配合することにより、100℃の熱水にも対応できる材料もあります。

塗り床を長持ちさせるには、用途に合った塗り床材を選び、正しい使い方を徹底することが重要となります。

最後に

塗り床の最大の目的は下地コンクリートの保護です。
物流倉庫であればフォークリフト等からの衝撃や、引きずりから保護できる塗り床を、レストランの厨房では、水やお湯からコンクリートを守るための防水性はもちろん、濡れた床でも転ばないような防滑性のある塗り床が必要ですよね。
このように「なにからコンクリートを守るのか」を考えると、塗り床材をスムーズに決めることができそうですよね。

今回ご紹介したケミクリートEも、目的や用途に合わせて使用することで抜群の耐久性や耐薬品、美観性を発揮します!

皆さんの塗り床材を選ぶときの参考になれば幸いです。

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参考