不定期連載街建コラム

人造石研ぎ出しとは?流し台だけじゃない。短納期にも対応した商品をご紹介《第45回 街建コラム》

今回は最近人気の人造石研ぎ出し工法や商品についてお話します。
ホテルのエントランス付近の床や学校階段の手すり部分、店舗のカウンターや公園のすべり台などで見たことがあるという方も多いのではないでしょうか。
研ぎ出しの歴史や専用のモルタル材、その施工方法についてまとめてみました。

このコラムの内容は...


研ぎ出しとは?

研ぎ出しは、天然の玉石(種石)などの砕石粒をモルタルに混ぜて床・壁などに塗りつけ、硬化してから表面を電動工具で研磨する工法で『人造石研ぎ出し』や『テラゾー』と呼ばれています。
硬化のタイミングを見計らう必要があり、荒研ぎ・中研ぎを行った後、ノロで目つぶしをしてから十分硬化させ、仕上げ研ぎをする伝統的な工法です。
種石を入れたモルタルを研ぐことで、自然石の風合いを再現した存在感、重厚感のある独特なテクスチュア(触れた際の質感、感触、外観)が得られる仕上げで、公共建築物や百貨店などの大型商業施設、公園、住宅など幅広い範囲で使用されています。

研ぎ出しの歴史

大正時代後半から施工が盛んとなり、昭和時代では公共建築物や百貨店などの大型商業施設の床や壁、階段手すりなどで多く使用され、高級建築物に適した工法といえます。また、学校や公園のすべり台、手洗い場、住宅のシンクなど様々な箇所にも施工され、人々に慣れ親しんできました。
ところが、高度経済成長以降では施工件数が減少しており、新規に施工されたものは数多くはありません。
その理由として、研ぐという工程があるため、工期や手間が多くかかる点、ステンレス流し台のような比較的安価なユニット什器が発達した点、また、デザイン性の流行、廃れなどの影響が挙げられます。
その様な中で、欧米でのテラゾーの普及や海外の種石、ガラスを用いることでモダンな意匠が得られること、また、研磨機械の発達により迅速な研磨が可能になったことなどから近年では人気復活の兆しがみえます。

テラゾー仕上げとは

従来のテラゾー仕上げは、大理石等の砕石とセメントを混ぜ合わせたものを塗り付け、硬化後に表面を研磨・艶出しして仕上げる工法となります。
下地の点検・処理、吸水調整材塗りの後、在来工法では下塗り、中塗りとセメントモルタルで下地を作る必要があります。
その後上塗りとして種石を伏せこみ研磨をおこないます。それぞれの乾燥、養生期間が7〜14日程度必要となるため仕上げまでに1、2ヶ月期間を要します。
工程に時間を要する為、市場では採用されにくいという声もあったようです。

話題の人造石研ぎ出し材

研ぎ出し仕上げ工法は、工程で時間や手間がかかってしまい商品によってはライセンスが必要な場合もあります。
しかし高い耐久性、高級感、意匠性やデザイン性に優れており、今また注目を集めています。
そこで今回は、人造石研ぎ出し材として日本化成鰍フ『デコリエブライト』についてご紹介します。

デコリエブライトとは

研ぎ出し仕上げ専用のモルタルです。粉体と混和液を混ぜて使用します。
施工の際にライセンスは必要なく、どなたでも研ぎ出し施工が可能です。
顔料や混入する種石を自由に組み合わせることで、この世に一つしかないオリジナルの研ぎ出し仕上げを作成できます。

デコリエブライトの特徴

施工性

デコリエブライトは壁・床を問わず施工が可能な研ぎ出し仕上材です。
特に壁への施工は難易度が高いといわれますが、混和液の量を調整することで壁面施工に適した作業性が得られ、繋ぎ目のない仕上げが可能です。

研磨性

施工翌日から小型研磨機で容易に研磨が可能のため、工期のない現場でもスピーディに施工が可能です。

仕上がり性

デコリエブライトはポリマーセメントモルタルのため、樹脂研ぎ特有の光沢感、重厚感が得られます。
混入する種石やガラス、顔料を自由に組み合わせることで様々な表情を出すことができます。

カラーバリエーション

標準色は3色です。(ホワイト、グレー、ブラック)
また、顔料を混入することで着色も可能です。

どういった場所に使われている?

▼ベンチ(デコリエブライト ブラック+黄色系の種石)

画像出典元:日本化成(株)

▼暖炉まわり(デコリエブライト ブラック+オレンジ系の種石)

画像出典元:日本化成(株)

▼カウンター(デコリエブライト ホワイトをベージュに着色+サンゴや寒水石)

画像出典元:日本化成(株)

施工方法について

1.下地の点検・処理・吸水調整材塗り

まず初めに不陸調整や全面塗りなどの下地処理をおこなった後、清掃、目地を設置し、吸水調整材を塗ります。
吸水調整材はNSハイフレックスHF-1000の5倍希釈液をご使用下さい。

2.下塗り、上塗り

続いてデコリエブライトの塗り付けです。
主材と混和液のみで練った下塗り材を厚さ0.5〜1.0mmで塗りつけ、追っかけで種石を入れた上塗り材を塗りつけていきます。

(左)デコリエブライト下塗り(種石なし)・(右)デコリエブライト上塗り(種石あり)

3.研磨工程

次に研磨工程です。
荒研ぎ後、目つぶしをおこない、硬化後に中研ぎ、仕上げ研ぎの順におこないます。
荒研ぎでは意匠に合わせ研磨する深さを調整し、平滑性を確保します。
中研ぎでは余分な目つぶし材を除去することを目的とし、仕上げ研ぎにて最終の光沢度合いを決定します。

仕上げ研ぎは100番、200番、400番、800番といった様に粗い番手から順番に磨くため、どこまで磨くのかをしっかりと決めておくことが重要となります。

画像出典元:日本化成(株)

4.仕上げ(表面保護)

最終工程の仕上げについてです。
研ぎ出し面の長期的な美観保護のために表面保護材を使用することを推奨しています。
表面保護材の種類によっては表面の光沢、色、質感が変化するため、必ず試験塗りをおこなってからご使用ください。

(左)ブラック・(右)ブラック+表面保護材
画像出典元:日本化成(株)

施工後イメージ

デコリエブライトのブラックに黒の種石とガラス骨材を入れ、表面保護を施工しています。
桜をモチーフとした店舗のため、花びらをかたどったアクセントも入っています。

東京都店舗カウンター
画像出典元:日本化成(株)

商品紹介

研出し仕上げ専用結合材 デコリエブライト 日本化成

メーカ−からの施工時の注意点

    • 粉体と混和液は別売りです。

    • 種石は別途ご用意ください。

    • 石膏ボード、ケイカル板下地の場合は、取付方法を施工マニュアルで確認してください。

    • 木、合板下地の場合は、アク止め処理後、NSフィラーエースを下地処理材としてご使用ください。

    • 標準調合は一例のため、詳細は施工マニュアルを参照してください。

    • 回転数が3,000回転/分程度の機械を推奨しています。(回転数が速いと焼けによる黄変の可能性があります)

    • 気温が3℃以下になる場合には、施工を避けてください。

    • 製品は製造年月日を確認し、粉体3ヶ月以内・混和液6ヶ月以内を目安に使用してください。

最後に

今回は人造石研ぎ出し工法についてご紹介いたしました。
デコリエブライトは研ぎ出し仕上げ専用のモルタルです。
施工の際にライセンスは必要なく、どなたでも研ぎ出し施工を行うことができます。
樹脂研ぎ特有の光沢感、重厚感が得られ、種石を自由に組み合わせることで無限の可能性が得られる仕上げです。
また、壁面施工に適した作業性を有しておりますので、床、壁問わず施工が可能となります。
高級感のある仕上げや塗壁仕上げとは少し違った、世界に唯一の研ぎ出し仕上げをお求めの方にオススメです!

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情報提供

  • 日本化成株式会社

<写真協力>