不定期連載街建コラム

夏休みの自由研究に最適!ピカピカ団子を作ってみた(光る泥団子)《第27回 街建コラム》

泥団子って作ったことありますか?
子どもの頃、水でドロドロにした土を丸めて遊んでいた記憶があります。
丸めたと言っても水分量が多く、ほぼドロです。ていうかドロです(汗)
もちろん家の中には持って入ることは許されません。泥団子にはそんなイメージを持っていました。

時は経ち...
数年前に小学生の息子が工作の時間で泥団子を作ったよと持って帰ってきた物を見て愕然としました。
何これ?宝石?大理石を研磨した?
というくらいキレイな泥団子。
そんなことがあったことはすっかり忘れて、この業界に入ってから東京都左官組合連合会(東左連)さんが出展しているイベントで見つけた泥団子。
あっ!これは!
息子が作ってきた泥団子はこれだったんだと納得。授業でこんな凄いものを作るなんて小学校スゴイ!

ということで、今回は泥団子作りに挑戦です。
今回泥団子の作り方を教えてくださるのは、東京都板橋区にある西谷工業株式会社の深津さん。
西谷工業さんでは、泥団子とは呼ばず、「ピカピカ団子」と呼んでいるそうです。
その西谷流「ピカピカ団子」の作り方を教わりました。
まずは西谷工業さんの紹介。
西谷工業さんは、数多くの有名な現場を施工している左官のプロフェッショナル集団です。
また、次世代の職人育成、教育にも力を入れており、師匠の技を盗んで覚えるという従来の指導方法ではなく、教材を使った研修や先輩によるマンツーマン指導、資格取得サポートなど今の時代にあった若手育成を行っている企業です。
若手が一人前の職人として現場に出るためには、社内の試験があるとのことで、その試験内容というのは、作業場にある大壁を一人で30分以内に仕上げること。
数値化された目標があるというのは、とても分かりやすくモチベーションも上げやすいので素晴らしい試みだと感じました。
街建も見習わなければ!


このコラムの目次...


1.材料と道具の紹介

■材料

  • 漆喰(今回は日本プラスターさんのスサや角又のり等が入った「はいしっくい」を使用)

  • 土(荒木田土など、公園の土でも大丈夫とのこと)

  • 珪砂

  • 藁すさ(少々)

  • 水性塗料(仕上げたい色を用意。水性のほうが混ぜやすい。顔料などでも可能だが、ダマになりやすいので注意)

■道具類

  • 養生シート(テーブルや床が汚れないようにしっかりと養生しましょう)

  • ゴム手袋(漆喰はアルカリ性が強く、固まるまでは肌荒れの原因になるので、直接触らないように)

  • 水を入れたバケツ(手や道具類の洗浄用に使う)

  • ペーパータオル(手を拭いたり、ピカピカ団子の仕上げ磨きにも使用可能)

  • 角を削った塩ビパイプ

  • ショットグラスなどの径の小さなグラス

  • クリアファイル(100x70mm)の裏にテープ付きのバッカー材を貼り付けもの

  • フルイ(今回は日本プラスターさんの「はいしっくい」を使ってノロ漆喰を作るために使用しました)

  • ボウル(または使い捨ての容器)×4

2.水を含んだ土で団子を作り、おおまかな球にする

ボウルに土(1)と珪砂(1.5〜2)に、藁すさを少々入れます。
柔らかさを見ながら水を入れてよく練ります。
水の量が多すぎると柔らかくなりすぎて成形しにくいので注意!

大まかに丸くしていきます。

塩ビパイプを使って形を整えていきます。

乾燥させます。

3.2週間乾燥させる

ただひたすら待ちます。放置です。
今回の取材では2週間経過した団子を用意していただきました(深津さんありがとうございます!)ので、そちらで作業していきます。

4.団子の表面を濡らして、コップで球に成形する

団子の下地作りはまだまだ終わりません。
団子の表面を濡らして、水が引くまで置いた後、塩ビパイプを使って整形していきます。

濡らす、成形、乾燥を1日数回それぞれ10分程度繰り返します。

この時の丸さが仕上がりの形になるので、しっかりと丸くしていかなくてはならないそうです。

団子を様々な角度で塩ビパイプに当てた時に隙間ができなければ丸くなっています。

5.2日乾燥させる

この乾燥でようやく団子の下地作りが完成!
ちゃんとしたピカピカ団子を作るためには時間が掛かります。

6.砂漆喰で下塗りをする

下塗りのための「砂漆喰」を作っていきます。
「はいしっくい」と「珪砂」を良くかき混ぜた後、水を足してよく練って「砂漆喰」を作成。
硬さはペースト状。
出来上がった「砂漆喰」に、仕上げたい色の水性塗料を投入します。

ムラにならないようにしっかりと混ぜて「色付き砂漆喰」の完成!

乾燥の終わった団子に先ほど作成した「色付き砂漆喰」を塗っていきます。
写真ではヘラを使っていますが、指で直接塗りつけてもOK。

全体的に「色付き砂漆喰」を馴染ませて形を整えていきます。
ここでやりすぎるとハゲて下地が出てくるので、やりすぎに注意。
下地が出てしまったらまた「色付き砂漆喰」を足し、ある程度乾燥させた後に形を整えていきます。

こんな感じで下塗り完了

7.漆喰で中塗りをする

新しいボウルに「はいしっくい」に水を混ぜて「漆喰(A)」を作ります。

別のボウルに、フルイにかけて、スサなどを取り除いた状態の「はいしっくい」を入れ、水を足して「ノロ漆喰」を作ります。

※本来のノロ漆喰の作り方とは異なりますので、注意してください。

「ノロ漆喰」に水性塗料を入れて「色付きノロ漆喰」を作ります。
「漆喰(A)」に「色付きノロ漆喰」を少しだけ入れて「中塗り用漆喰」を作ります。

写真は、「漆喰(A)」に「色付きノロ漆喰」を投入している様子です。

「中塗り用漆喰」の完成です。

ヘラや指で色付き「中塗り用漆喰」を団子に塗っていきます。

塩ビパイプで成形していきます。

丸くするため、必要に応じて「中塗り用漆喰」を塗り足して成形していきます。

塗ってすぐに削らずに少し置いて乾燥させると丸くしやすいです。

8.ノロ漆喰で上塗りをする

7で作成した「色付きノロ漆喰」を団子に塗っていきます。

全体に馴染ませていきます。

こんな感じ。

しばらく乾燥させます。

9.団子を磨く

径の小さなグラスで、表面を磨くように押さえていきます。
徐々に艶が出てくるのでワクワクしてきます。

グラスの縁に付いた漆喰はすぐに乾燥して固くなってしまい、団子を傷つけてしまう。
そのため、こまめにグラスを洗浄する必要があります。道具の手入れは大切ですね。

さらにクリアファイルで艶を出していきます。
クリアファイルのほうがグラスよりも傷が付きにくいとのこと。

だんだん艶が出てきた!

団子に塗りつけた「色付きノロ漆喰」が手につかず固まってきたら、手の油で馴染ませていきます!

手やペーパータオルなのでどんどん磨いていきます。この時落とさないように注意を!

完成!

10.まとめ

実作業自体は3〜4時間程度。
団子を乾燥させるのに時間がかかるので、余裕をもったスケジュールを立てる必要があります。
で、作りながら思ったのが、これってすべてが左官の基礎技術だということ。
「ピカピカ団子」はキレイな仕上がりだけでなく、下地作り、中塗り、上塗り、押さえなど、日本伝統の土壁の作り方を学べるなんて、なんて素晴らしいモノなんでしょう!
大げさかもしれないが、本当に楽しくてタメになる!
まさに夏休みの自由研究にこの「ピカピカ団子」はピッタリ!
材料や道具を揃えるのは大変ですが、ぜひ皆さん、お試しを


今回取材にご協力いただきました西谷工業の皆様、本当にありがとうございました。

■西谷工業株式会社

住所:〒175-0081 東京都板橋区新河岸2-9-26
電話:03-5968-0787
URL:https://nishitani-ind.com

※今回ご紹介したピカピカ団子(光る泥団子)の作り方は、西谷工業さんでの作成方法です。
他にも様々な作り方がありますので、チャレンジしてみたいですね。

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