だんだんと気温が上がり、街中の花壇や公園には綺麗なお花が咲き出していますね。
ガーデニングをされる方は、ワクワクする季節ではないでしょうか?
私も、大きなお庭のある家にいつか住んだらガーデニングを楽しみたいと密かに思っています。憧れます。
今回の街建コラムのテーマは、そんなガーデニングや園芸で、「土壌改良材」「排水性向上剤」としておなじみの『パーライト』です。
実はパーライトは、建築資材や工業用洗剤としても幅広く使われています。軽くて扱いやすいだけでなく、断熱性や吸音性にも優れたスゴい素材です。
このコラムでは、パーライトの基本的な特徴やその利点、活用方法について紹介していきます。
《目次》このコラムの内容は...
パーライトとは、簡単にいうと「ガラス質の火山岩を高温加熱し急激に膨張させて作られたもの」です。
つまり、”火山噴火→溶岩が流れて急冷され固まる→ガラス質の岩石のうち、加熱し膨張させたもの”というところでしょうか。
加熱により水分が蒸発し気体になったため、多孔質の構造で体積に比べて非常に軽い素材です。
さらに保温性、断熱性、耐火性もあることから、上述したとおり、建築材料として幅広く使われています。
ちなみに、園芸資材としては水はけや排水性が良いため、小粒のものは土壌改良に、大粒のものは鉢底石などに使われます。
火山岩?火成岩?深成岩?って?
今回題材としているパーライトは、「火成岩」のうちの「火山岩」から作られています。
「火成岩」は、マグマが冷えて固まった岩石のことをいい、大きく分けると「火山岩」と「深成岩」の2つに分類されます。
「火山岩」は、急冷し固まったもの。「深成岩」は、ゆっくりと冷えて固まったもののことを指します。
パーライト自体には、有毒性はありません。
ただ、大量に吸い込むと喉や気管などに悪影響を及ぼす可能性もあるため、使用する際にはマスクや防護メガネの着用をおすすめします。
また、非常に軽く舞いやすいため、風が強い日には使用を避けるなどの注意が必要です。
パーライトの種類は、主に「黒曜石パーライト」と「真珠岩パーライト」の2種類です。
黒曜石パーライトは、表面にほとんど穴がなく、ツルツルしていて、排水性が高いことが特徴です。
一方、真珠岩パーライトは、よく見ると粒の表面はがザラザラとしていて、保水性と透水性に優れています。
土壌改良では水捌けの悪い土に「黒曜石パーライト」、水持ちの悪い土に「真珠岩パーライト」が使われます。
黒曜石パーライト | 真珠岩パーライト | |
---|---|---|
表面 | ツルツル | ザラザラ |
特徴 | 排水性◎ | 保水性◎ |
多孔質構造で非常に軽量です。
持ち運びが容易になるため、作業効率が向上します。
熱を伝えにくい性質があります。
多孔質構造は音を吸収する性質もあります。
火山性ガラス由来の素材のため、不燃性を持ちます。
多孔質構造が余分な水分を排出するため、土壌改良材としては根腐れを防ぎます。
必要な水分を保持しつつ、通気性を確保します。
天然素材のため、環境への負荷が少ない材料です。
このようにパーライトは、軽量性や断熱性、不燃性を活かして建築物の性能を向上させるため、高層ビルや一般住宅の天井や壁などでモルタルの軽量骨材として使用されています。
園芸材料としては、粘土質土壌に加えると空隙ができ、水はけや通気性が良くなるため土壌改良によく使用されます。
パーライトモルタルとは、モルタルに骨材としてパーライトを配合した、『軽量モルタル』のことです。
パーライトの特徴が活かされているため、通常のモルタルに比べて軽いことが特徴です。強度を維持したまま軽量化されることにより運搬コストを下げ、作業効率を上げます。さらに、パーライトの特徴により、耐火性、断熱性、吸音性なども優れています。
同じような用途として使われる『バーミキュライト』というものがあります。
どちらも人工軽量骨材の多孔質資材です。
それぞれ原料が違い、パーライトは火山岩、バーミキュライトは鉱石です。
バーミキュライトは雲母質の鉱物を1000℃で焼成し水分を急激に膨張させたもので、加熱すると、蛭のように膨張することから日本では「ひる石」とも呼ばれています。粒の大きさは5mm以下で断熱性に優れています。
色もパーライトは白っぽいものがほとんどですが、バーミキュライトは茶色や白、銀色など産地によって色合いが異なります。
土壌改良としては、粘質土壌で排水性を高めたいならパーライト、砂質土壌で保水性を高めたいならバーミキュライトが使われます。
街建では、パーライト、バーミキュライト、どちらも取り扱いがあります。
各商品に様々な粒度があるので、求めているサイズが見つかるかもしれません。
パーライトは、モルタルや土に混ぜることで軽量化ができ、通気性や保水性、吸音性、防火性などを向上させることができます。
特徴を効果的に活用してみてはいかがでしょうか。
おかげさまで今回第70回を迎えた街建コラムですが、来月よりしばらくの間、休止することとなりました。
これまでたくさんの方に読んでいただき、本当にありがとうございました!
過去のコラムは、今後も見ることができるので、引き続きご覧いただければ嬉しく思います。
では、またお会いできるときを楽しみにしています。