第69回街建コラム、今回のテーマは「古民家のあれこれ」についてです。
ここ最近、雑誌やテレビなどの「旅」、「お散歩」、「食べ歩き」、「リノベーション」、「おしゃれなカフェ」を取り上げている記事や番組で『古民家』を目にすることが多くなったような気がします。
昔ながらの街並みを活かして、その中に佇(たたず)み、人が住まなくなった民家をおしゃれなカフェやインバウンド需要を意識した宿泊施設にリノベーション(改修)した建物が紹介されています。世の中のそういった動きの中で、旅行者、観光客、ぶらりと立ち寄る人、諸外国の方々が訪れ、街が活性化し、さらにそういった活かし方をした建物が増えているようです。
古民家といって都内でパッと思い当たるところといえば、やはり文京区から台東区一帯の「谷中」、「根津」、「千駄木」辺りで、俗に『谷根千』といわれるエリアでしょうか。
もう少し範囲を広げ関東地域で見ると、各ガイドブックで「小江戸」と呼ばれて久しい埼玉県川越市の『時の鐘(鐘つき堂)』で有名なあの一帯、他にも千葉県香取市の『佐原』辺りが思い浮かびます。
古民家といわれるとイメージ的にはなんとなく「こ~んな感じの建物?」っとぼんやりと浮かびますが、実際はどんな建物のことをいうのでしょうか?ちょっと見てみましょう。
《目次》このコラムの内容は...
「一般社団法人全国古民家再生協会」のwebサイトによりますと、古民家の定義としては、登録有形文化財制度に合わせ『築50年を経過する木造軸組構法の伝統構法、または在来工法の住宅』と紹介されておりますが、一般社団法人全国古民家再生協会での定義は『昭和25年の建築基準法の制定時に既に建てられていた伝統的建造物の住宅すなわち伝統構法』となっております。
ただこれらは法的に定められた明確な定義ではないようです。しかし概ね先ほどの定義に該当し、かつ伝統的建造物の特徴(例:「茅葺屋根」、「土間」、「太い梁」など)を踏まえたものを『古民家』と呼んでいるようです。
ちょっと興味深かったところでは、同webサイトによりますと、古民家についてはそれに関わる資格制度もあるようです。資格制度の内容は割愛しますが、「古民家鑑定士」、「伝統再築士」、「伝統耐震診断士」、「古材鑑定士」が紹介されています。
実際に街中ではどんな古民家がみられるのか、それが今どのように活かされているのか、そのいくつかを少しみていきましょう。
古民家で都内といえばやはり「谷根千」エリアでしょうか。その中でも今回は古民家と呼ばれる建物がカフェ、雑貨屋、ギャラリー等に活かされている風景を求めて『谷中』におじゃましました。
西日暮里駅のわきの急な坂を上野方面に上がるとそこは神社仏閣が数多くみられる閑静な住宅街。しばらく歩き続けると見えてきましたこれぞ谷中ともいえる風景。「夕やけだんだん」の名前でよく知られた『谷中ぎんざ』です。
谷中のエリアに足を踏み入れますとこういった建物がさっそく見られワクワクします。
緑青(ろくしょう)が特徴的な銅板葺の外壁が渋いですね。
その隣の建物の窓の格子も美しい。
さてさてもうしばらく歩くとついにやってきました目的地『散ポタカフェのんびりや』さんに到着です。
お店の前に並べられたイスやテーブルにまず目がいきますが、バス停のような看板がかわいく思わずにんまりしてしまいます。
こちらはもともと1919年に民家として建てられているとのことで、築100年を超える町屋を改装しているようです。
引き戸をあけて中に通されると天井からはアンティークな雰囲気の照明や家具、時計、こたつ、畳敷き、どこをとってもなんとなく懐かしさを感じる店内です。
今回はさらに奥の座敷に通していただきました。畳敷きのお部屋ですね。
さて食事でもしながらのんびりくつろぎます。
ちなみにこちらではメニューに「うちの定番!」として紹介されている『オムライス【黒】』を頼みましたが、運ばれてきたのは美味しそうな黄色いオムライス。黒とは???
スプーンで一口すくってビックリ、「黒い、確かに黒い、、しかも真っ黒」しかも「うまい、確かにうまい、、しかもけっこううまい」とびっくりしながら大満足でした。
「のんびりや」さんを出て谷中をお散歩していると他にもこのような建物がみられます。
『カヤバ珈琲』大正時代(1916年)の町屋を活かした建物のようですね。
少し離れたところから見ても迫力を感じる「出桁造り」(だしげたづくり)の軒(のき)が特徴的です。
「カヤバ珈琲」の角を曲がり、夕やけだんだんの谷中ぎんざへ戻る途中、ちょっと寄ってみましたカフェ『HAGISO』(萩荘)さん。
HAGISOは1955年に木造アパートとしてスタートした建物です。HAGISOの「ハギ」はお花の『萩』。谷中にある妙祐山宗林寺の境内に多くの萩が見られ、「萩寺」の愛称で親しまれているそうです。そのお隣に建っているのがこちらのHAGISO。萩寺の愛称にあやかって付けられた名前のようですね。
さて、一階のカフェにおじゃましてみました。
建物の外観は今風な造りになっておりますが店内に入ってみますと、玄関から続く店内の半分が土間になっており、その玄関のすぐ右手には当時の雰囲気を感じさせる天井や階段がみられます。店内に入り一段上がると食事を楽しめる喫茶スペースが広がります。
せっかくカフェにきたもんですからもちろん頼みましたよパフェ。
『HAGISOパフェ』、バナナ、チョコに加え、オリジナルブレンド珈琲をつかった素敵な作り。おとこひとり、オムライスを食べたばかりですが、パフェをしっかり堪能いたしました。
古民家を活かした街づくりの様子を見るために次に訪れた場所は川越。関東地域のガイドブックでは「小江戸」として紹介されることが多いですね。
『時の鐘』で有名な「鐘つき堂」をはじめとして、時代を感じさせる建物が街全体の風景になってます。
「時の鐘」に立ち寄って、蔵造りの建物や数々の看板建築の建物を眺めながら「札の辻」の交差点までやってくれば、その角にあります『狭山茶カフェ和芳庵』さん。こちらは1階の『狭山茶 長峰園』というお茶屋さんがやっているカフェで建物の2階にあります。
最初「あれ?入り口は??」と思いましたが正面から見て建物の右手に2階へ上がる入り口がありました。
階段を上がり、いよいよ店内へ。
こちらの建物は明治時代に建てられたものを改装しているようです。
店内には、「そうそう、これこれ」と思わず言ってしまいそうな立派な梁。色も太さもすごい存在感です。漆喰を思わせる白い壁によく映えます。
そして、せっかくお茶屋さんがやっているカフェにきたんですからもちろん飲みます抹茶。
狭山茶の渋みがとても心地よく、ほんのり甘みも感じます。抹茶の餡をつつんだ葛餅と一緒にいただきました。渋みと甘みとこの空間とで癒しのひとときになりました。
さてお次はちょっと脇道、小道の「弁天横丁」を入り、少しばかり歩きますと大正時代に建てられた『麻利弁天(あさりべんてん)長屋』と呼ばれる長屋が現れます。この弁天横丁辺りではその当時、芸者さんを料亭などへ差し向ける「置屋(おきや)」があった地域だそうです。今回は麻利弁天長屋の一角をリノベーションしてカフェとなっているのが『ギャラリー&カフェ二軒堂』さんです。
アンティークなテーブル、イスなどの家具類を眺めつつ、個人的にとても魅力を感じたものは、かなり渋めな天井とレトロな風情たっぷりの硝子窓の数々です。
こちらではココナッツミルクベースのまろやかなカレー(二軒堂名物角煮トッピング)をたぁーんといただきました。
ちなみに弁天横丁を入って、二軒堂さんへ向かっていく間にこんな素敵な長屋も見られました。
ギャラリーや食堂に活かされているようですね。
古民家といえばなんといっても黒くてぶっとく立派な梁に漆喰(しっくい)で塗られた白い壁のイメージがですが、『街建』ではもちろん古民家にふさわしく昔ながらの製法で作られた漆喰を取り扱っておりますのでご紹介いたします。
江戸時代から伝わる伝統製法による「塩焼き石灰」が使われております。「海藻のり」にも「麻スサ」にも化学製品が加えられておらず、天然素材100%の製品です。本物が必要とされる文化財の現場から、安心安全が求められる一般住宅まで幅広く使用されております。
日本漆喰協会の化学物質放散自主認定制度の『VOC基準合格品』です。
安全で安心な製品であることを証明するために設けられた審査を合格しています。ホルムアルデヒド等などの揮発生有機化合物に関する安全性の証明に、日本漆喰協会の「認定番号・認定証」を使用しています。
日本漆喰協会「化学物質放散自主認定制度」については下記URLからご参照ください。
→http://www.shikkui.gr.jp/kagaku/announcement.html
古民家の特徴で壁の次に思い出されるのは、やはり『土間』でしょうか。
しかも古民家の土間といえばやはり『三和土』(タタキ)。こちらは比較的昔ながらのものから、土の風合いを活かしつつしっかり強度が確保できる三和土風の製品まで紹介しようと思います。
他にも古民家でみられる土間といえば「洗い出し」といったものがあります。そちらも街建であつかっている材料として紹介していきます。
永い年月を経て堆積し生成された土は産出場所によって成分が異なり、多種多様な色と粘土質の違いがあります。それらを採掘し精製加工したものが「全国の土」シリーズです。用途に応じた日本建築の伝統的な土間工法に適した材料です。
(自然素材の土のみの使用では十分に強度が確保できないことがあるため、施工箇所やその仕様の違いにより調合にはご注意ください)
ブロードカラー・ストーンフィーネは豊富なカラーバリエーションの「ブロードカラー」(独自開発のセメント)と天然玉石・玉砂利による組合せによる「洗い出し床仕上工法」です。伝統的な洗い出しの風合いを新感覚ともいえる多彩な演出で仕上げます。
さて他にも古民家で注目したい材料といえば『改修』に関わるものですね。土壁、漆喰、京壁、砂壁など古くなった壁をまずは「しっかりガッチリ固めてから改修にあたりたい」そんなお声を耳にします。そういったニーズに適した材料も街建では扱っております。
次に紹介する材料はじっさいに古民家や土蔵の改修で実績もあるようですね。
新築、改修の現場において脆弱化(ぜいじゃくか)した無機質系下地の表層を強化し、仕上材の施工を可能にする水性の浸透強化剤です。
分散するポリマー粒子径を分子に近いサイズまで小さくすることで脆弱層への浸透強化を可能にした材料です。
「古民家」といえば、太く立派な梁(はり)や柱も思い出されますが、さらに言えばそこに映える綺麗な木目。古材特有の趣きを演出する材料も取り扱っております。古民家のリフォームや神社仏閣などでも採用されております。
木の内部に深く浸透して古材特有の趣きを演出する染料です。木目の豊かな表情をつくり出し、さらには木材の「防腐」、「防虫」、「防水」効果も期待できます。
『よいやみ』、『くまげ』、『からちゃ』、『あかつき』、『えみぐり』の5色ございます。(こちらは「あかつき」です)
「古色木目天然染料 久米蔵」を施工の際は、『久米蔵専用仕上げ材』(別売り)も使用します。
第69回街建コラム『古民家の魅力を再発見。伝統の風情で引き立てる古民家カフェ』はいかがでしたでしょうか。
「古民家」がリフォームされることでカフェなどのさまざまな店舗や宿泊施設などに活かされている現状に触れながら、そもそも「古民家」ってどんな建物を指すのか(定義はあるのか)から始まり、都内やその近郊でみられる古民家や街並みを紹介し、古民家の特徴となるような材料を街建で扱っている中から紹介いたしました。
これからも街建コラムでは商品紹介だけではなく、皆様のお役に立てそうな情報を少しずつでもお伝えできればと考えております。
ちなみにですが『街建』もついに今年の2月から「インスタ」(Instagram)を始めました。皆さまの「いいね」、「コメント」をお待ちしております。
それではまた街建コラム、街建Facebookでもまたお会いしましょう。街建の中のヒト4号でした。最後までお読みいただきありがとうございました。建築って本当にいいもんですね。
※コラムで紹介した材料は、古民家として紹介した建物とは関係ございません。
※商品を使用の際は、その使用前にはカタログ、取扱説明書などをよくお読みいただき安全にお使いください。