「白いものがちらほらと気になるようになりまして…」、って、「あっ、違いますよ」、頭のお話しではありません。白髪の話しではありませんよ。これ『街建コラム』ですから。白華のお話しです。
街建コラムもおかげ様をもちまして第48回目となりました。48歳のわたしが48回目のコラムを書く機会を与えられるなんて、街建との深い絆を感じざるを得ません。
さて今回はこれから寒い冬を迎えるにあたり、外壁、基礎廻り、土間などのモルタル、コンクリート施工の際に悩みのタネともなりがちな『白華』現象をテーマに取り上げていきたいと思います。
《目次》このコラムの内容は...
モルタル、コンクリートやコンクリート二次製品等の表面に、主成分が炭酸カルシウムの白い生成物が浮き出てくる現象です。「白い華」と書いて、『はっか』と読みます。もちろんあのミントの「ハッカ」とは関係ございませんし、清涼感もなく、どちらかといえば厄介なものです。
その白い炭酸カルシウムの生成物が浮き上がった様子が、あたかも白く花(華)が咲いたようにも見えることから『白華』と呼ばれているようです。他にも見た目からきていると思われる呼び名でいきますと、「ハナタレ」なんていう呼ばれ方もあるそうです。
面白いですね。白華は馴染みあるところでは、「エフロレッセンス」、それを略して「エフロ」とも呼ばれています。
さまざまな呼び方のある白華ですが、ではどのようにして発生するのか、そのメカニズムについて少し具体的にみていきます。
モルタルやコンクリートはその固化材(固めるための材料)としてセメントを使用します。
そのセメントはご存じのとおり水と混ざることによって水和反応が起き固まります。その水和反応を起こした時の生成物として『消石灰』 [Ca(OH2)] ができます。この消石灰を「遊離石灰」と呼びます。遊離石灰は空気中にある二酸化炭素などの「炭酸ガス」と反応して『炭酸カルシウム』[Ca(OH3)] となります。
この炭酸カルシウムは強度を出すのに多少役立ってはいますが、この遊離石灰がモルタル、コンクリート等の内部の水と一緒に表面に移動してくることがあります。するとこの遊離石灰がモルタル、コンクリート表面で炭酸ガスと反応し、炭酸カルシウムとなったときに白い粉として現れます。これが白華(エフロレッセンス)です。
ちなみに先ほどから登場している「消石灰」や「炭酸カルシウム」ですが、テーマが『白華』ですと、なんだか悪さばかりする厄介者のようですが、実はそんなに悪い奴でもありません。案外身近で頼りになるいい奴なのです。
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(閑話休題、話しは戻りて)このようなメカニズムよって発生する白華ですが、遊離石灰と一緒に表面にあがってくる水がどこからきたものなのかによって大きく二つに分けられます。
『一次白華』と『二次白華』です。
モルタルやコンクリートを固めるための材料(固化材)にはセメントが使われます。そのセメントは水和反応によって固まるため、水がどうしても必要になります。その時に使用される水(練り水)が先ほどご紹介したメカニズムによって発生する白華が「一次白華」というわけです。
一方で「二次白華」の原因は先程のように最初から内部に含まれている水ではありません。
外からくる水が原因となります。例えば雨水です。雨が降り、その雨水が外壁や基礎廻り、土間などにかかり、そのモルタルやコンクリートの中へしみ込んでいきます。一度は中へしみ込んだ水(雨水)ですが、モルタル、コンクリート中のセメントによる生成物である「遊離石灰」と一緒に表面へ上がってくることがあります。
水(しみ込んだ雨水)と一緒に表面へ上がってきた遊離石灰は、先ほど説明しました通り炭酸ガス(二酸化炭素)と反応し炭酸カルシムとなり、白い粉として現れ、二次白華となります。
乾燥しづらい環境下、特に冬場で白華を完全に防ぐことはとても困難です。しかし外壁、土間、基礎廻り等での発生は大きく美観を損ねてしまうこともあります。
第48回街建コラム『白華現象の原因と白華除去剤の使用方法』はいかがでしたでしょうか。
「白華とは何か」から始まり、白華が発生するメカニズム、一次白華、二次白華、白華除去剤の一例、街建で扱っている商品を紹介してまいりました。
白華がテーマですと、とかく厄介者にされがちな「消石灰」、「炭酸カルシウム」ですが、私たちの身近なところで活躍をされている姿を日頃の感謝を込めてしっかりフォローさせていただきつつ、江戸時代の川柳なんかも織り交ぜながら話しを進めてまいりました。
モルタル、コンクリートの施工時やコンクリート二次製品の製造時など、乾燥しづらく水が残りがちな寒い冬。こんな時に発生しがちな白華。これからの季節、街建でもお問い合わせが増えてくる商材です。
街建ではまだまだこれからも季節に合わせた商材や、現場で役立つ便利な商品、数多くの建築材料をご紹介できればと思います。
さらに商品だけではございません。時には記録と記憶に残したい建築物、昔から受け継がれてきた左官にまつわる伝統技術など様々な角度からテーマを取り上げていきたいと思います。
ではまた街建コラム、街建Facebookでお会いしましょう。街建の中のヒト4号でした。
最後までお読みいただきありがとうございました。