不定期連載街建コラム

モルタルミキサーの種類を紹介!グラウトミキサー、ポットミキサーとは?<モルタルミキサー特集 後編>《第5回 街建コラム》

前回 の街建コラム『モルタルミキサー特集・前編』はいかがでしたか?

ミキサーには、 前編の【モルタルミキサーとは】 の中でも触れたとおり、「練り混ぜる材料」や「ドラムの形状」のちがいによって呼び方が変わることがあります。

後編では、そのようなミキサーとして「グラウトミキサー」や「ポットミキサー」などを紹介し、その使い方についてもお話しを進めていきます。




グラウトミキサーとは

おもに「グラウト材」を混練りするミキサーです。
撹拌羽根が高速で回転することで、ドラム内では流動性の高い材料(グラウト材)を混練りするために必要な対流(水流)をおこし撹拌します。
メーカーによっては、グラウト材だけでなく「セルフレベリング材」(SL材)の混練りを推奨しているものもあります。


※グラウト材とは…
通常のモルタルよりも流動性の高い無収縮モルタルで、鉄骨柱基礎ベース据付け、橋梁の沓座(しゅうざ)などを施工する際に、流し込みをする材料です。
※セルフレベリング材(SL材)とは…
セルフレベリング(self leveling)を略してSL。
一般的には、コンクリート床に施工する各種仕上げ材(張り物など)の下地調整材として使われることが多くあります。
非常に流動性の高い材料なので、材料の表面が自ら平たんになる性質(自己水平性=セルフレベリング性)をもっています。
※各材料を施工する際は、メーカーのカタログ、施工要領書をご参照ください。
エンジンミキサーとは

撹拌羽根や、ドラムを回すための動力に「ガソリン エンジン」を使っているミキサーです。

モルタルミキサーの多くは、電源の確保がしやすい100Vの「電動モーター」が主流です。
しかし電源の確保が困難な現場(公園、野原など)もあるでしょう。
そのような現場で活躍するのが、『エンジンミキサー』です。

ポットミキサーとは
ポットミキサーの概要
ドラム(容器)の形状からこのように呼ばれています。
このタイプのミキサーは、ドラム自体が回転することで材料の混練りをおこないます。
モルタルの混練りだけでなく、「粗骨材(砂利)を混ぜてコンクリートを練り混ぜる」ことができるタイプが、ポットミキサーの主流です。
ポットミキサーのドラム内には、撹拌用の羽根が複数枚付いています。
羽根そのものは回転しませんが、ドラム自体が回転するため、その羽根でモルタル(コンクリート)をすくい上げては、ドラム内で材料が叩きつけられるようにして練り混ぜます。
したがって、ある程度「粘性の高いモルタル」や「コンクリート」の撹拌に適しています。

コンクリートも混ぜられるこのタイプは、『コンクリートミキサー』とも呼ばれます。

通常のモルタルミキサーではコンクリートの混練りは不向きです。
ドラム内のアームが撹拌羽根を回転させ、モルタルの混練りをおこなうこのタイプ(モルタルミキサー)は、粒度の大きな骨材(砂利などの粗骨材)を一緒に混ぜてしまうと撹拌羽根に砂利がひっかかり、羽根が回りにくく(場合によっては回らなく)なり、モーターが焼きつき、故障の原因になります。

また、ポットミキサーで極端に流動性の高い材料(グラウト材やSL材)を練る事は不向きです。ドラム自体が回転し、ドラム内の羽根自体は回転しないこのタイプでは、グラウトやSL材の混練りに必要な回転数や材料の対流(水流)が得られないため、撹拌不足につながります。
※ミキサーを使用の際は、メーカーの取扱説明書を読み、材料に適したミキサーを選んでください。
一般的なポットミキサーの使い方(電動モーター100Vタイプ)

電源コードを100V用のコンセントにつなぎ、スイッチを入れます。

最初に砂、セメント、水でゆるいの状態のモルタルペーストを作ります。 (ドラムが回転している状態で材料を投入します)
モルタルペーストを作った後は、砂、砂利、セメント、水を加え、水でコンクリートの硬さ(スランプ)を調整します。

レバーやハンドルなどでドラムを下に傾けて、プラ舟などの容器に材料を空けます。 (ドラムが回転している状態で材料を排出します)

材料の排出してから機械の運転を停止してください。

作業が終了したら、きれいに水洗いをしてください。

※使用および清掃などの際は、各メーカーの取扱説明書をご参照ください。
まとめ
街建コラム『モルタルミキサー特集』はいかがでしたか?
最後まで読んでいただきありがとうございます。
すばやく、便利に、安全に、現場をすすめていただくためにモルタルミキサーがいかになくてはならない存在かを、私もあらためて確認することができました。

前編では、通常のモルタルミキサーを紹介し、後編では「グラウトミキサー」、「エンジンミキサー」、「ポットミキサー(コンクリートミキサー)」を紹介しました。
また、材料の特徴(グラウト材、SL材など)や「ポットミキサーの使い方」などもお伝えしました。
不定期連載ではありますが、また近々みなさまのお目にかかりたいと思います。
今後とも、実のあるコラムを書いてまいります。

こんな特集を読んでみたい、こんなことが知りたい、コラムの感想・ご意見などがございましたら、お気軽にこちらよりご連絡ください。
ちなみに私、街建の中のヒト4号はほめられて伸びるタイプです。

お問い合わせ
https://machiken-pro.jp/shop/contact/contact.aspx

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参考資料
・左官辞典アプリ [iOS] [Android]
・社団法人日本左官業組合連合会 左官事典
・株式会社マゼラー ミキサーカタログ [15版]
・株式会社友定建機 ホームページ(製品紹介)
・トンボ工業株式会社 NIKKOミキサカタログ
・株式会社ヤブ原 ビルグラウトカタログ
・ウォール No.24号